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地域コミュニティーの再生

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)

 オンラインマッチングによる「同類婚」の話に触れたが、自分と似たような境遇や考え方をもつ者同士が結婚することは良いことだろう。ただ問題は、学歴や所得レベルの差に象徴されるような生活の質の違う者同士の二極化や分断が進むことになるのが避けられないことだ。そしてそのような所得階層の住み分けが進む中で、地域を「その土地に住む人たちが共有する場所」という感覚を失いつつあることが問題だと本では警告を鳴らしている。

 コロナ禍で通勤せず家を働く場所とすることになり、地方へ転居する人が増えたと聞くが、ネットを通して関係のある人とだけ関わり、その土地がどのような場所で、どのような人の交流があるかを知らずに過ごす人が多くなっているのは事実だ。昔のように隣り組の支え合いや近くの商店街での買い物などが少なくなり、地域のコミュニティーの希薄化や分断が進むだろう。

 そういったことに対して、社会的開拓者となってアイディアや労力を出し合い、集える場を新しく作り出していくことが重要になってくる。本に紹介されているのは「コモンルーム」というプロジェクトを立ち上げたジョナサン・コリーの取り組みだ。重要な社会問題について話し合ったり、一緒に活動したりする場を作り出したというのだ。

 実は、私は今日、三輪住民自治協議会から依頼されて、「オレンジカフェ」という事業の講師として三輪公民館に行ってきた。基本的には「認知症について学ぶカフェ」」という立場だが、誰でも訪れることができ、お茶をしながら気軽に話を楽しみ、その中に講話や体操指導、音楽を楽しむなどいろいろな内容を組み込んでいるものだ。

 私は心理学や脳科学を研究している立場から、「老いの研究者」として「賢く年を重ねる」という課題で話をすることになった。長野市内の各地区で開催されていると思うが、三輪地区は熱心で50人近い人が集まっていたように思う。運営にあたる人も多く、地域のまとまりと熱心さを感じだ。喜んでもらえたようで、「ぜひ来年も」と依頼されたのはうれしかった。

 先日購入し、今日の話題の参考にした「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(脳科学者西剛志著)という本には、「やってみたくなる趣味の見つけ方〜心がフフっと喜ぶ21分野」というページがある。その趣味の分野は、「自然系」「運動系」「音楽系」などと提案されていくが、その21番目は「貢献系」だ。その内容は「考える、学ぶ、育てる、つなげる、ボランティア」で、まさに三輪のオレンジカフェがうまくいっているのは、その貢献系に喜びを感じて熱心に取り組んでいる人がいるかららだろう。それは一人二人強いつながりがあると、その人たちが核になって周りの人を惹きつけていくように思う。人生100年時代の行動戦略として良いお手本を見せてもらった気がした。