(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
世代の特徴と社会の変化を扱ってきた。自分がどのような社会のなかで少年期、青年期と学んだか。青年期から成人期初期にかけてどのような社会と向き合うことになったか。それがその世代の人の「時代精神」(ある時代を支配し、特徴づけるような普遍的な精神、または意識)を生んだ。
ベビーブーム世代は、戦後の大きな変革の時代にあって、それまでの社会の構造に戦いを挑んだ。世界中で政治に対する否定的な動きも激しかった。私の子供のころの遊びは「安保反対遊び」だ。仲間と腕を組んで「アンポ!ハンタイ!」と繰り返し叫びながら広場を練り歩くのだ。その後、高度成長期を経験し、自動車生産台数は世界トップになった。頑張って学んだり、夜中まで働いたりすれば、それに見合う大きな結果を受けることができた。1970年代、80年代と豊かさを享受し、昨日の「恋愛至上主義」に踊らされ、お金を注ぎ込んで幸せを掴もうとした。
X世代は、その恩恵の中で生まれ育ち、豊かさを享受しようとした青年期、成人期バブル崩壊を体験する。その世代の終わりの人たちとY世代は、停滞する社会の中で生きる方法を探ることになる。最近までの30年間という収入の伸びない社会でひたすら働いたり、不安定な職を渡り歩く人も多くなる。その後の、Z世代は、世の中の厳しさを感じて成長し、自分にとっての新しい価値観を大切にしようとしている。生まれた時からネット社会に生き、情報と現実の社会のずれに厳しい目を持っている。
ただ、ここで気をつけないといけないのは、年齢でそれを区切るのではなく、世代が違っても同じように社会の変化を味わってきたということだ。ベビーブーム世代でも、バブル崩壊を経験し、テクノロジーの変化と向き合いってきたのだ。
本に紹介されているのは、ソーシャルメディア利用者の割合についてだ。2012年の調査で、ミレニアム世代(Y世代)のソーシャルメディア利用者は81%に達していたのに対して、ベビーブーム世代は40%と半分ほどだった。それが、6年後の2018年には、ミレニアム世代はほとんど変わらないのに、ベビーブーム世代は、57%まで上昇したのだ。もちろん2020年代の今は、若い世代に負けないぐらい伸びているだろう。私の合唱団のメンバーも孫に教わりながらほぼ全員がLINEで連絡を取り合い、ホームページを見て団の活動をチェックしている。
人生100年という時代に生きるには、「マルチステージ」の認識が必要だ。過去の経験や認識(時代精神)にしばられず、新しいことに新鮮な目で向き合うことだ。私も「もういい年だから」などと逃げたりはしない。この頃扱った「性交未経験者」も、「そういう時代に生きた自分だったのだ」と社会を見つめ直す気持ちで振り返り、「では、今の自分にできることはなんだろう」新しい方向を見いだすことが大切だろう。「自分は欠陥のある人間」だったのではなく、「そういう時代に自分らしく生きたのだ」と、自分を認めていったらいいと思う。
世代にレッテル貼りをして、ひとくくりに見るのではなく、そういう特徴を持つようになったのは、どういう時代背景、社会の変化があったのかと深く広い目で見ていきたいものだ。