(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
世代にレッテルを貼る意味を考えていたらNHKのあさイチで面白い特集をしていた。「セックスをしたことがないのは恥ずかしいこと?」というテーマだった。30代後半から50代にかけて性交未経験者が自身の人生についてとても恥ずかしい存在として悩んでいることを扱っていた。
「性交経験率の推移」がグラフになっていた。6年おきの調査データだった。1974年には男子大学生が10人に2人(2割)ほど、女子が10人に1人(1割)ほどだったのが、急速に上がり、2005年には、男女ほぼ同率で10人に6人(6割)の大学生が性交経験者であった。これは高校生でも同じように2005年に3割まで急速に上昇している。それが大学生も高校生も2005年を境に見事に急速な低下をしているのだ。きれいな山型の折れ線グラフだった。
社会の変化がその背景にある。1960年代までは、結婚は男女の出会いから互いに初めての相手として「初夜」を迎えた。そうでないものは「不純異性行為」(おそらく若い人は知らない言葉だろう)とされ、不良扱いだった。それが、1970年、1980年と大きく変容してくる。番組で紹介していたのは、山口百恵の「横須賀ストーリー」だったが、「🎵これっきりこれっきり…もうこれっきりですか、…そう言いながら今日も私は波のように抱かれるのでしょう」と、若者の性行為が当たり前に語られるようになってくる。まさに先ほどのグラフと同じだ。
1990年頃までのバブル期は、恋愛結婚が8割、恋愛至上主義と言われた。性交関係は当たり前の社会的トレンドで、雑誌には「sexがあなたを綺麗にする」というような記事がたくさん出ていた。
2000年ごろになると「モテ系」「非モテ系」という表現が流行り、社会を二分する状況になった。そんな時代に青春を過ごした年代が、性交経験がないことにコンプレックスを背負って生きることにつながっているようだ。その頃20歳ごろとすると、今は40代半ばだ。
しかし、2005年を境に性交経験率が急速に下がってくる。これは、1990年代のバブル崩壊が社会にも大きな影響を及ぼし、2000年ごろからは経済の下り坂、停滞が続いた。
そんな社会の行き詰まりの中で、「オタク文化」というような、周りの目を気にせず自分の好きなことに熱中する若者が増えていったのだ。しかし問題なのは、恋愛至上主義の時代にそれに乗れなかった30代後半から50代入口あたりまでの人たちのコンプレックスがいまだに尾を引いていることだという。
今日はそれを掘り下げたりはしないが、問題は、「新しい世代が生まれたかどうかは、社会に変化が起きたかどうかで決まる」ということだ。また、「テクノロジーが急速に変化していれば、新しい世代が比較的短期間で次々登場するのも不思議ではない」ということだ。