(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
世代間の関係性について前回は「老害」に触れたが、そういった世代間ギャップについてはまた後日にしよう。それよりも長寿化による人生モデルの変化のスピードに、社会のシステムの変化が追いついていないことが重い問題のように思う。
本では、2015年に岩手県矢巾町で行われた「フューチャー・デザイン」という住民参加のワークショップのことが紹介されている。町政の長期計画を立案するために行われたのだが、参加者を二つのグループに分け、(またそれぞれ二つのチームに分けて議論したよう)、片方には現在の視点で考えてもらい、もう片方には2060年の現役世代の視点を想像して考えてもらったという。
その議論の詳細はぬきにして、それぞれのグループが主張した内容を見ると、未来の世代を代弁したグループの方が、主として現在のことを考えたグループよりも、目下の難題の解決を強硬に主張したという。この未来世代のことをどれだけ考えて、我々が今の政治や行政を見つめているかというのはとても重要な課題だと思う。
もちろん国の未来を研究し将来ピジョンを行政の組織は提案しようとしている。先ほどの「2060年問題」の他にも「2075年問題」とか、割と近い「2025年問題」というのもある。ただ、申し訳ないが、政治家はそれよりも次の選挙の方が気になることは事実で、今の世代にどう評価してもらえるかにどうしても視点がいってしまうように思う。
参考までに2060年問題について紹介しておこう。上の矢巾町の取り組みの少し前、2010年ごろ、その50年後を想定した「2060年問題」という日本の危機に関する論議が盛んになった。厚労省が長期的な日本の人口動向を予測したデータを発表した。2060年の日本の人口は8674万人で32%の減、65歳以上が5人に2人を占め、生涯未婚比率が5人に1人の割合に高まる。少子高齢化が加速し社会保障制度の将来像確立が急務と発表したのだ。扱った記事には「超少子高齢化」という言葉も使われていた。