· 

支え合いの願い実現に向けて

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)

 「支え合いの関係」について主に結婚を中心に話を進めてきた。本の中に提案されていることをもとに簡単にまとめよう。

 人生が長くなり、社会規範の変容もあり、生き方の選択肢も増える。しかし基本的に「愛し、愛される」ことに本質があることは変わらないだろう。互いが理解し合い、互いに依存することも認め合うことが前提だろう。

 それを実現するためにもう少し深めよう。まずは、選択肢が増え、状況が複雑化していることにしっかり向き合うことだ。パートナーと一緒に過ごし、子どもを育て、やりがいのある仕事を続けたいというような願いを理解し合い、互いの求める「ありうる自己像」をしっかり見つめるのだ。

 ただ、避けて通れないのは、何を選択するにもプラスの要件とマイナスの要件があることだ。独身を通すことの良さもあれば、手に入れることが不可能になったり、別な形でよしとしなくてはいけないこともある。結婚することも同じで、深く愛し合って一緒になることで手に入れることはたくさんあるが、そのために我慢しなくてはいけないこともある。

 特に子どもを育てることは、大きな負担というか責任を生じる。もちろん企業の慣行のように社会の変革を求められることもある。夫の育児休業取得率のことがニュースでよく取り上げられるが、良い夫婦関係を守り続け、生活の安定基盤を確かなものにしていくためには、互いの理解と責任が大事だ。よく話し合い、信頼関係を育むことが不可欠だ。

 一気に書いたが、長い人生を振り返ったり、教育相談等で私のところに届いたりする現実は簡単なものではない。話し合いを持とうとしても、単に強い方の言い分を押し付けられる結果になり、状況は改善しないどころか、互いの不信感が増幅することも多い。

 独身者が孤独な世界に籠るのではなく、むしろ家族や友人関係を大事にし人的ネットワークを広げていることについてしばらく前に書いた。これは、結婚したりパートナーとの共同生活を選択したりした人たちも同じだろう。不安や悩みを一人で抱え込まず、相談したり学び合ったりすることで、別な次元から世の中や自分の在り方を見つめ直してみることが大事だ。

 NHKのあさイチで、加賀まりこが上手いことを言っていた。未婚で子を産み、今はパートナーと共同生活をしている。「コップの置き方が気に入らず『なんでこんなふうに』と思っても、それを相手に言っても自分がイライラするだけ、気になるなら自分で直せばいい。お互いに違う人間なんだから完璧に理解し合うなんて無理。」だと言っていた。(番組内容の記憶は多分こんな感じ)「これでいい」と一緒にいることで諦めることや許し合うことで得られるものに目を向けることが大事なのだろう。