(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
支え合う信頼関係の大切さを前回扱ったが、最も長い年数生活を共にする夫婦にとって、それが重要であることは間違いない。ところが、厚労省のデータで、2020年に離婚した夫婦のうち、20年以上同居した「熟年離婚」の割合が21.5%に上り、統計のある1947年以降で過去最高になったという発表を目にした。
お互いに結婚という道を選び、生活を共にするわけだが、基本的にそれぞれの価値観や自由度は理解し合うことが大切だと思っている。しかし、一般的にはいまだに社会は男性がキャリアを積み、家を支える構造が強い。日本では、22歳から65歳の女性の75%が職を持っているが、その4分の1はパートタイムだ。(男性は10%)妻が不安や不満を持つ構造が生まれやすい。熟年離婚の原因を調べてみると、その年齢になって互いに理解し合えなくなったとかいうのではなく、我慢を重ねてきたことが、子供が独立するとか夫の定年などを節目に離婚に至るということが多いと思う。
私が知り合いの女性から聞いた話は驚きだった。一人目の子が3歳、二人目がお腹に(8ヶ月)いる状況で東京へ旅行に行った。モノレールを降りて駅の階段を歩いている時、大勢の大人たちの流れに手を引いていた3歳の子の歩きが間に合うわけもなく、不安になって抱き上げて階段を降りていた。なんと大きな荷物も持っていたという。夫はその時かかってきた携帯で会話をしていてそのことに気づきもしない。そしてその女性は転んでしまった。幸い6段目ぐらいで足を滑らせたような感じで大きな怪我には至らなかったが、問題は、夫がその時妊娠8ヶ月の妻を気遣って「大丈夫か」と心配するのではなく、「なんで抱いているんだ!」と言ったというのだ。話だせばいくらでもそんな忘れられないこと(怒り・不信)があるという。ともかくもう2度と一緒に旅行には行きたくないという。確かに、荷物を持つか上の子の手を引くかどちらかは当然夫がするべきと思うが、そんなことすら言えない夫婦が多いのだ。
しばらく前になるが、我が家の近くの牛丼店で昼を食べていた時、まだ1歳にもならない赤ちゃんを連れた若夫婦が入ってきた。可愛い子だなと見ていると、妻はすぐ席に着いてメニューを見ている。夫は、荷物を全て一人で持ち、さらに赤ちゃんを片腕に抱いて、幼児用の椅子を運んできて座らせている。その間、妻は目も上げなかった。なんで荷物ぐらい持ってやるとか椅子は自分が用意するとかしないんだろうと驚いた。まあ夫婦にもいろんな姿があるのだ。
結婚して互いに幸せな日々を過ごすために、それぞれの生き方(個性・価値観)を大事にすることは必要だ。でも子育て中などはそれをうまく調整して互いに我慢するところは我慢して助け合わないといけない。その共同作業をバランスよく理解しあって支え合う「関係性」を築くことの大切さをどうしたらわかってもらえるのだろう。