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幸福度を高める移行のために

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)

 幸福度を上げる道を求めることは誰しも関心があることだろう。本にある実験が紹介されていた。ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カールマンらの研究だ。

 被験者を二つのグループに分け、どちらのグループにも14度の冷水に60秒間手を入れさせた。片方はその後すぐに手を水から出させ、もう一方のグループには、さらに30秒間手を入れさせ、徐々に水温を上げていったという。その結果、後者のグループの方が参加者の満足度が高かったという。

 別なネット記事で調べたものには、参加者に両方体験させて、もう一度体験するならどちらを選ぶかと尋ねると、69%の参加者が、後者の方(少しずつ温度を上げた)を選んだという。

「ある出来事に関する評価は、その出来事の最悪の経験と最終の経験に大きく左右される場合が多い。」ということだ。それを「ピークエンド効果」という。

 誰でも経験するのは、「食事で好きなおかずを先に食べるか」ということがある。もちろん、私は、最後に美味しいものを一口でも残しておいて、味わって満足感を得たい方だ。昨日もラーメンを食べにいったが、ノリや大好きなネギで麺を味わって食べ、最後の方で、チャーシューや半熟の卵を味わって食べる。それなりの満足感を味わうためのルールがあるのだ。ところが、だいぶ昔のことだが、職場の仲間と一緒に食べた時、最後に食べようと残しておいたチャーシューを「なんだ嫌いなのか」と言って奪って食べた人がいたが、もちろん意地悪をしてからかったのだ。何十年も覚えているのだから不幸な経験だったのだ。笑ってすませられることではない。

 子どもの成績にまつわる話はよく聞く。頑張って良い点を取った時は、「頑張ったね、これからも頑張りなさい」程度で済ます親が、悪い点を取った時はいじいじと理由を尋ねたり、もっとこうしなきゃめででしょとしつこく攻めたりというようなことだ。本人のやる気をつぶす効果があることを自覚してほしいものだ。

 良い人生を生きられたかどうかは、最悪なことをどれほど経験したかということと、最後にどう経験したかで決まるのだ。人生の終わりの日々は、きわめて重要な意味を持つのだ。