(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
中高年のライステージの転換が上昇カーブに転じるようにするにはどうしたらいいのだろう。教員経験しかない私にはわかりにくい課題だが、企業に勤める人たちが職を去ることを決めるのは、大半が本人ではなく勤め先の会社だ。経費の節減や経営の合理化を目指すとき、まず年長の社員を減らそうとする。大半は若い人より給料が高いからだ。さらに、そういった年長者が再就職を願う時、なかなか条件をクリアーして実現することが難しい。
年長者たちもなんとか新しい分野でのスキルを向上させ、求められる人材となるための自己投資が必要とされる。その際カギを握るのは、「年齢を重ねるにつれて強化されるタイプの知能、すなわち“結晶性知能”を有効に利用すること」だ。若者やAIには難しい「人を理解する力」や「状況をうまく総合的に判断して有効な対策を提案する能力」など、これまでの経験を活かして考える力だ。
私は、完全に勤めを辞めてこの研究室を起こした。教育相談や公民館講座、講演会講師、合唱団指導などで過ごしている。それらはまさに「人々の悩みや希望をとらえ、“いま”を安心して過ごすことで、将来への明るさを感じる」ことにつながる。ほとんどの人が、人間関係などに不安を持っていて、自身のアイデンティティーを見失いそうになることも多い。「どう生きるか」という方法論的なアドバイスではなく、人の心をあたたかく受け止められる受容性を広げることで改善していく例が多いのだ。