(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の7月10日です。)
中年期の危機(ミッドライフ・クライシス)についてもう少し整理してみよう。
以前、発達心理学のブログでも触れたが、40代後半からは「成人後期」と言われ、「人生の午後」とも言われ、まるで下り坂の人生のように思われやすい。人生の頂点が思い描いていた以上に低いと感じ、強烈な絶望感にさいなまれる人が多い。それは思い通り行かなかったという人だけではなく、かなり社会的には成功した人でも陥るらしい。あの武田鉄矢や文豪トルストイも鬱々とした時代があったという。
酒やギャンブルなどで自分をコントロールできない事態にはならないようなんとか支えたいものだ。女性では「空の巣症候群」と言われ、子育てに一生懸命取り組んできた母親が、子どもが成長し自分の手元を離れていくときに、自分は何のために生きているのかわからなくなってしまうというのもこの年齢の頃だ。
私は、結婚が早く若くして家庭をもち、大学生の時から市民合唱団に入って社会人との交流も多かった。大きく羽を広げて人生を突きすすむ青年期だったが、その分早く「ミッドライフ・クライシス」が訪れたように思う。30代半ばで大切なものを多く失い絶望感にさいなまれたが、今思うと、まだ若かったために新しい人生の扉を開くのにチャンスに恵まれていたように思う。それも人生の新しいステージに「移行」したということだろうか。それまでの人生を否定して蓋をしてしまうのではなく、反省すべき点をしっかり見つめ、次の船出では、何を目標にするか真剣に考えた記憶がある。それも「移行のための学び」と言って良いのではないか。