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選択肢の広がりと伴うリスク

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは昨年の7月10日です。)

 若者が20代を通して自己のあり方を探り続ける“成人形成期”について語ってきた。18祭の紹介で昨年は終わったが、ついこの頃NHKで、「子どもがいない世界がやってくる」という番組をやっていた。ネットで調べてみると、最近の若者の思いについて批判的な意見も多い。

「大人の子ども化が進んだ」とか「子どもより自分がかわいい大人が増えた」など、厳しい言葉もある。「お金がなければ結婚も出産もしちゃダメと刷り込んだ」「お金がない家に生まれた子どもは不幸になると刷り込んだ」などと、社会の風潮が不安をあおっているという意見もある。何かまさに「羅針盤のない航海」というか、何をどうすれば良いか迷うことの多い世の中になってきているように思う。

 以前は、家族のつながりが強く、支え合いながらおせっかいを我慢しながら、当たり前のように就職・結婚・出産と人生の路線を進んでいた。しかし、人生100年時代、マルチステージの社会と言われるようになり、豊かさとは何か、自分にとって一番幸せなのはどのような生き方なのかと迷うようになってきている。それだけ選択肢が広がっているのだ。

 そこで、重要なのは、それぞれの進路を選んだ場合に何が失われるのか、どのようなリスクが伴うのか、後で進路を変えることがどれだけ難しいのかを検討することだと本では説明している。上の「子供がいない世界が」の番組で、「子どものいない人の五人に四人は、意思に反して子どものいない人生を送っている」という説もあった。自分の人生を探り続けているうちに、出産には遅い年齢をむかえてしまった人もいるだろう。人生100年とすれば、その20年を子育てに追われたとしても、子どもが育った後残りの60年近くを自分の充実に使うという選択肢もあるのだが、とりあえず結婚・出産、そして子育てが済んでから自分発見とはいかないだろうとも思う。逆に出来ちゃった婚のように早く結婚・出産をして子育てに追われ、子どもが巣立った後、「人生の午後」とも言われる40代後半から自分のアイデンティティを探り、新たな人生を開いていくことは、精神的には大変で喪失感にさいなまれる人も多いのではと不安になる。それは成人形成期を引きずったまま生きている人生のようにも思えてしまう。

 答えの見えないままではあるが、「100年時代の人生戦略」について、成人形成期を離れて先へ進めよう。