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若者・女性の意識の変化

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)

 “成人形成期”の延長について、若者・女性の意識の変化を見ていこう。恐慌や世界大戦を経験した若者や、その親の姿を見て育った若者は、「早く成人期に移行し、就職・結婚・家庭を持つ」といったことなど“安定した生活を得る”ことが「成功」であるという意識があった。しかし、高度成長期が行き詰まりをみせ、時代の変化に必死で対応することを迫られたXジェネレーション、ミレニアム世代あたりから(1990年ごろ以降)、「それは今じゃない」「結婚や家庭は成功とは見なされない」という考えが多くなってくる。もっと「自分らしさは何か」、「本当にやりたいことは何か」と“青年期でも成人期でもない”若者が多くなってきたのだ。

 女性の意識の変化も大きい。例えば性的な変化ならば、避妊薬の開発によって性的関係を持つことが家庭を持つことと直結しなくなった。恋愛関係において性的関係を持つことに寛容のなった。また、女性の高等教育への進学率が上がり、アメリカでは法学・経済・医学領域は男性と同等になったという。20代前半で結婚することへのプレッシャーもほぼなくなった。

 男性も女性も10代後半から20代後半まで、自分と、自分のあるべき未来としっかり向き合うようになってきていると言えるのだ。

 NHKのあさイチで、黒柳徹子や加賀まりこ、風吹ジュンといった70〜80代の人生の先輩が、30・40代の人の悩みに答えるという番組を見たが、彼女たちは結婚していなかったり、離婚して子育てをしたり、苦しい経験もしてきた。「結婚していなくても大丈夫ですか」という課題については、「もっと大事なことがある」ということを語っていた。「若い頃に憧れるのはもったいない。なぜなら自分にとって“今”が一番自分にとっては若い時なのだから」と、今の自分としっかり向き合う言葉も印象に残った。アイデンティティ(自分とは何か)と向き合うことが重要な時代になってきており、それは成人形成期の若者だけの問題ではない気もする。