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教育期間の延長

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)

 “成人形成期”の延長についてもう一つの要因は、大学進学率など高等教育の延長が考えられる。以前高校を卒業し製造業や農業等、ものを作る産業に多くの若者が就いていった時代から、サービス業への移行が進んでいる。サービス業とはすぐ思いつく「接客業」だけではなく、情報通信、運輸・郵便、卸売・小売、金融・保険、さらには、学術研究や専門・技術サービス業、教育や医療などとても広い業界である。

 そう言ったサービス業による経済には高等教育が必要とされるので、70%近い若者が高校卒業後も教育を継続しているのだ。現場で限られた仕事を毎日繰り返すのとは異なり、高度な知識やスキル、相手や状況に応じて対応する方法を工夫したり学び直したりする必要も求められる。急速なデジタル化の中で、新しいスキルを常に更新していく必要もある。

 大学改革の書籍を読んだことがあるが、「先進諸国に比べて質・量ともに著しく低い現状である」と嘆く一節があった。高等教育の現場では、社会の発展スピードに負けない「高度化」や多様化する社会に対応できる「個性化」が求められ、それにスピーディーに対応していくために、組織運営の「活性化」が求められているのだ。ITのスキルや知識は、下手をすると学生の方が長けていることだってありうる。大学の教授も常に学び続けないといけない時代なのだ。

 大学がそのように「個性化」する中で、進学した若者が自分の求めていたものとのギャップを感じ、専門科目を変更したり、大学を移ったり、さらには社会に出てからもいろいろな業種・会社を渡り歩いて経験したりということもある。20代前半で就職し家庭を持つといった青年期から成人初期への移行が、20代後半まで伸びるという状態“成人形成期”の社会が世界的に見られるのだ。