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幸福感と満足感

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月20日です。)

 お金と幸福感についてはさまざまな調査が行われている。ノーベル経済学賞受賞者のA・ディートンとD・カーネマンは、アメリカ人を対象に大規模な調査を行った。そして、年間所得が7万5千ドル(日本円で約1000万)を超えると、所得がそれ以上増えても幸福感は高まらないらしい。「所得が高いと人生の充実感は高まるが、日々の幸福感は高まらない。一方、所得が低い人は、人生の充実度が低く、情緒的な幸福感も低い。」とまとめている。金は「よい人生」の重要な柱であることは間違いないが、それだけで決められるものではないということだ。

 では次に、人生の幸福感と満足感に関する調査を見てみよう。ハーバード大学医学大学院で行われた「グラント研究」について紹介している。大学の卒業生を対象に75年間にわたり追跡調査したもので、ケネディ大統領も対象者になっているそうだ。

 人生の満足感を高める要素を知ることを目的にしていた。結論を簡単に言うと、

「裕福な人ほど幸福感が高い傾向は確かに見られたが、満足して幸せな人生を生きるために最も重要な要素は金ではない。人生の満足感を最も左右する要素は“温かい人間関係”だというのだ。」そして、「幸福とは愛である。それ以上でも以下でもない」つまりほかの人とつながることは、よい人生を送り、人生で直面する試練に対処するための土台になるのだ。(斜体文字は抜粋)

 ここまで書いていたら、その思いを利用して、若い女の子を借金まみれにし、自分の儲けのために人の道に外れたことまでさせるホストクラブのことを思い出してしまった。まわりにいたおとなや仲間は、その温かい人間関係を育むことができなかったのだろうか。その現代社会の負の部分にも目を向けないといけなさそうだ。