(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは7月20日です。)
テクノロジーの進化による自動化の波によって、雇用に及ぼされる変化に目をつけることが大事だ。完全になくなるという仕事はごくわずかかもしれないが、一部の業務が機械に置き換わっていくことはほとんどの仕事に現れてくるだろう。ただそれが多くの社員の働き場がなくなるということではない。
本に例としてあげてあるのは、例えばアメリカで、表計算ソフトの登場で40万人の帳簿係の雇用が失われたが、60万人の経理専門家の職が生まれたという。また、銀行でATMが普及したことで、むしろ銀行員の数は増えたという。機械化されたことで、銀行員は預金の引き出しのような業務から解放されて、もっと付加価値の高い業務に移行したのだ。顧客の事情に寄り添った対応や金融商品の売り込みなどだ。
前回扱った教員の世界でも同じだろう。繰り返しテクニックや知識を教えるようなことはすでにiPadの活用など機械化が進んでいる。教師の手がそこから解放されることで、膨大なデジタルデータの活用で教育計画の更新を図ったり、個別の指導で生徒に丁寧に対応したりといった付加価値の高い仕事や非定型的な仕事に力を注げるのだ。
ただ、そういった業務の変化によってすべての人にその恩恵がもたらされるわけではない。そういった新しい方向の業務に取り組めるよう自らのスキルを高めた人となることが大事なのだ。
他人事ではない。私も今年の「歌と健康セミナー」が終わったが、年代の幅が広く、しかも経験の差の大きな人たちを相手に、どんなに心に響く指導をしても、その効果はその時限りになってしまいやすい。
来年は12回という連続講座(成人学校)の指導を依頼されているが、上の「非定型的」業務という視点で工夫が必要だろう。個々の受講者の悩みや求めたい事柄を掴み、それを解決する取り組みを提示して見せることで、他の受講者も個々に求めることを伝えてくれたり、自分でも工夫できたことを仲間と交換したりというように、日々の生活とつなげるような方向が必要だろう。一方通行でこちらの考えを伝えるだけではない双方向のものをどう展開できるか考えたいと思っている。