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消滅する仕事

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月20日です。)

 雇用の未来について考えている。テクノロジーの進化によって自動化される仕事であるかがポイントだ。1950年代にアメリカの国勢調査でリストアップされた職種は270とのことだが、自動化により完全に消滅したのは、1つだけだという。それはエレベーター操作係だ。昔“エレベーターガール”と言われ、バスの車掌のように制服を着てデパートなどで客の乗降のお世話をしてくれた。もう高齢の人しか知らないだろうかと思う。

 どんな職種でも、自動化できる業務の内容はある。それが90〜100%の職種は消滅するだろう。私のやっていた教育の仕事は、自動化できる割合が25%とされている。採点や生徒の情報管理などだろうが、それも個々の事情によって数値だけでは判断できないことも多い。

 例えば採点をマークシートのようなもので処理したり、パソコンを使ってテストする場合は正解率が簡単にわかるが、ベテランの教員は、その子の答案を見てどのような思いからその間違いに至ったかを判断することがある。それを解決してあげるとその子はその学習に意欲を高めてくるのだ。点数といった結果だけでは、励ますだけで適切なアドバイスはできない。

 私は算数の授業研究をしているとき、間違えている子の目の付け方が面白いと思ったことがある。結果として間違っていたが、その子は簡単な方法で答えを出す工夫をしていたのだ。そのユニークな頭の使い方ができる子は、むしろ大きく結果を出せる能力を持っている気がする。

 教育という仕事は、相手によって教え方を工夫しなくてはいけない。その一番根本にあるのは、相手の性格や物事の考え方をよくつかみ、それを伸ばしてあげるような個にそった指導の工夫だ。成績の評価などはどんどん自動化に置き換えられていくだろうが、そこに秘められた人間でないとできない要素を無くしてはいけないだろう。