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「現在」しか目に入らない

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月20日です。)

 前回は「複利の魔法」というテーマで、早く始めた投資は、少ない資金で大きな利益を生むことを扱った。健康も同じで、比較的若い頃から習慣として積み重ねてきた取り組みは、老年期になって他の人と比較して大きな成果を上げるように思う。私は歌を若い頃やっていたが、仕事に追われて30代半ばからは指導はするが自分の実践はなかった。ようやく60代になって昔の仲間の活動に加えてもらって、年齢による劣化を感じながらも頑張っている。

 「教育」「勤労」「余生」の3ステージの時代は、その年齢に合わせてそのことに集中する生き方が当たり前だったろう。会社の仕事が忙しいからと休日まで働いて子育ては妻に任せっきりということは当たり前だった。退職して、蓄えた資産を取り崩しながら静かな余生を送るのが当たり前だった。しかし、人生100年時代と言われるようになって大きく変わってきている。

 これからの時代気をつけなくてはいけないことは、「現在」に目をうばわれ、未来について賢明な判断をくだせないことだと思う。上に書いたように長い目で投資をしたことはのちに大きな利を返してくれることを忘れてはいけない。

 子育てがわかりやすい。幼児の時、小学生の時、中学高校と進学の時代、それぞれに味わわせておく家族のふれあいがあると思う。夏休みは毎年家族みんなでキャンプか海水浴に行った。2泊3日で、一緒にテントを張り料理を作った。教頭になってから1泊2日にして、しかも佐渡へわたるようなことができなくなったのが残念だったことが忘れられない。夏休みの学校でトラブルがあれば、すぐ駆けつけなければいけないからだ。

 上の娘が合唱部の部長だった時、顧問が替わって苦しんていたので、頼まれて無償で指導に行き、県大会で金賞を取るまで応援できた。下の娘は「もっとこうなりたい」という気持ちの強い子で、高校進学の時、その未来の夢を受け止め東京へ進学するのを応援した。二人とも今は親が口を挟むことはほとんどない。いや、何か言うと怒られる。自分で判断して生きていけることが一番ありがたい。あとは、親が老化で娘たちにかける負担をいかに減らすかが最大の努力目標だ。

 人生にとって大きな仕事でもある子育ては、「現在に振り回される」ことよりも長い目で判断する典型的なものだろう。他にも日々の生活でその気持ちを大事にできればと思う。