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「お年寄りらしく」なく

(このブログは、東洋経済社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)

 「自分の年齢に対する考え方を変える」と、年齢の可変性について扱った。それは「他人の年齢に対する考え方を変える」ということでもある。

 とかくこれまでは、同じ会社員でも50代、60代の社員は生産性が低く、新しいことを学ぶ能力が乏しいというイメージがあった。しかし、人生100年時代をいわれる現代、職業人生が長くなるのに伴い、50代、60代から新しいことを学び、新しい人生を歩もうとしている人も多くなってきている。年齢に対する固定観念は他の人への偏見を生む可能性がある。暦年齢の固定化されたお年寄りのイメージを捨て、将来に対する可能性を豊かに持てる社会にしていきたい。

 そんなことを実践してくれている人がたくさんいる。「元気の秘訣は超簡単レンチンごはん」という80代料理研究家さんや、最近一番話題になっているのはユニークな自撮り写真で人気の92歳の写真家西本喜美子さんだ。西本さんは、72歳で写真塾に入り、ゴミ袋に入った自分や、天使の装いで宙に浮いた面白い写真などで評判になり、82歳で個展を開いたのだ。

 私の指導する混声合唱団エールは目標が3つある。その一つは「経年劣化と言われないよう自身を磨き『熟成』した世代となる」だ。「初心忘るべからず」の心で、「まことのはな」を咲かせようということだ。「老害」などというけしからん言葉があるが、歳を重ねたからこそ見えてくる世界もある。心理学では老年期は「喪失の時代」だというように、確かに失うものは多い。しかしこれからの人生100年時代は、残された人生の長さを思い、新しい視点で「ありうる自己像」を見つけていきたいと思う。

 明日は退職校長会の代議員会があるが、「元校長」の立場だけでなく、新しい自分を発信していきたいものだ。そういえば明日は会報79号が発行されて、「レジェンドの広場」というコーナーが載るそうだ。私も原稿を頼まれて提出したが、他の人たちの楽しんでいること、頑張っていること、自慢、仲間づくりなど、どんなことが並ぶか楽しみだ。