· 

年齢の可変性

(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)

 バースデーケーキのろうそくは、一年一本は子どもの時だけ。子育ての頃、私のケーキは、一本10年のものを決めて二桁を表してやっていたなあ。しかし、前回の「あと何年生きられるか」という「死生学的年齢」もあるし、よくテレビで体の柔軟性をテストして20歳代などと言われて喜んでいる「生物学的年齢」もある。さらに、自分のことを客観的に見たとき「何歳ぐらい」と思うかという気持ちによる「主観的年齢」もある。年齢にもいろいろな捉え方があることを知ってほしい。

 そういった「自分を何歳ぐらいと感じるかという“主観年齢”がその人の老化現象に及ぼす研究」は、20世紀末あたりから本格的に登場したという。簡単に言うと、実年齢(暦年齢)より調査した人の大部分は7〜8歳若いと感じていた。それに対して、主観年齢が8〜13歳上の感覚の人は、研究の対象期間中の死亡リスクや病気による負荷が、通常の18〜35%高かったという。

 自分を若いと判断している人は、それだけ未来を描いている。そのために新しいスキルを学び、新しい人間関係を築き、健康を維持する努力をしているのだろう。今日も私は、柳原公民館で開催する「歌と健康セミナー」の打ち合わせに行ってきたが、そういった学びの場に出てくる人は、主観年齢も若いのだろうと思う。

 昨日のたまたま見た「ポツンと一軒家」のご主人は80歳代終わりの方なのに、自分で工夫して作った道具を持って長い梯子に登り、茅葺き屋根の修繕をしていた。さらに山の水を長くパイプをつないで炊事や風呂、消雪など工夫して使っていた。

 人がどのように老いるかは、その人が取る行動、周囲の環境や置かれた状況、遺伝的要因などによって一人ひとり違う。そして、自身が取る行動が将来の自分に影響を及ぼすので、個人による違いは、時間を重ねるにつれてさらに広がっているのだ。平均寿命が伸びてきている現代社会において、ますますその差が広がり、100歳を超えてもスポーツで記録を更新する人もいれば、40代で退屈で単調な人生を送っていたり、健康状態が悪かったりする人もいるだろう。自分の年齢に対する考え方を変える必要があるのだ。それによって、残された年齢も可変するのだ。