(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは7月10日です。)
年齢にもいろいろな概念があると前回扱った。少子高齢化が社会問題として扱われるが、その「高齢」は、暦年齢だけに着目して、高齢者の数が増えていることばかりが強調されている。確かに平均寿命の伸びが著しく、高齢者が急速に増えている。それだけでなく、日本が戦後80年を迎える今、先の大戦で大勢の若者たちを亡くし、その後ベビーブームと言われるような人口の急拡大も重なって、世代のアンバランスさは問題であることは事実だろう。
ただ、平均寿命が伸びていることは、高齢世代の残された人生が長いということを忘れてはいけない。本では「死生学的年齢」と仮に呼んでいる。あと何年生きられるかはもちろんわからないが、統計を基におよその推測をすることはできる。以前は60歳で退職したあと、10年とか15年ぐらいの余生を送る人が多かっただろうが、これからは、まだ40年近く人生を残している人が多くなるのだ。そういう意味では、60歳でも「若い」と言っていいのだろう。その「死生学的年齢」を考えずに社会のあり方を議論しても無駄だ。
最近インフレが問題になっている。給料や年金の増額が対応策として取り組まれているが、それが2%上げたとしても、物価が4%上がったのでは、実質値下がりだ。年齢も同じように「年齢インフレ」があるとも言える。平均寿命の上昇を加味して、高齢化の進展度合いを見ていかなくてはいけないだろう。
そういう私も去年古希を迎えたが、思いのほか日々忙しい。もちろん健康の課題はたくさん抱えているが、社会的な年齢はまだ現役だ。年齢に対する見方を更新し「老いる」とはどういうことなのか議論をしていかないといけない。