(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)
多くの人が長生きできるようになるのはうれしいことだが、65歳以上の人の割合が5歳以下の人の割合をもうすぐ追い越してしまうという人類史上初めてのことは多くの難しい問題を持っている。
出生率の落ち込みが際立っている日本と中国では、すでに人口が劇的に減少しはじめている。他の条件を同じと見た時、国の人口が1%減るごとに、GDPの成長率も1%下落すると本に紹介されている。日本に当てはめると、今後半世紀にわたり日本のGDP成長率は毎年平均0.6%のペースで落ち込んでいくという計算になる。
経済成長を守り続ける難しさということ以外に、問題とされるのは老後資金(公的年金制度)医療費支出の増大、世代間の公平などである。
イギリスで1908年に公的年金制度が始まったとき、受給開始年齢は70歳、しかも平均寿命は今の約半分の45歳だった。つまり実際に年金を受給した人はほんの僅かだったのである。今後は働き続ける期間を伸ばしたり受給開始年齢を遅くすることは必須だろう。
また、医療は今後も急速に発展していくと思うが、それに係る医療費を誰がどう負担するかも大きな課題だ。そして、そういった公的年金や医療費を支える世代との関係は、人口学的遷移からもとても解決できそうもない問題と思えてくる。
以上難しい問題を並べてきたが、これらは映画の世界でもなければ、何十年も先のことではない。私たちとその子どもたちに突きつけられている課題なのだ。第1章をこれで終えて、第2章からはどうすれば良いかを考えていこう。