(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、7月10日です。)
今日新しい名刺が届いた。個人で活動している私にとって自身のアイデンティティを確認できる大事な道具でもある。新しい名刺には、このホームページへと誘導できるQRコードを入れることができた。名刺を、活動を紹介する道具として使いたいと思っていたのでありがたいことだ。以前の名刺にもドメインは印刷してあったが、ほとんど利用してくれる人はいなかっただろう。
今はいたるところでQRコードを見ることができる。株主総会の案内にはほとんどついているし、たびたびテレビ番組で「詳しくはこちらのQRコードでご覧になれます」とよく言っている。このマトリックス型二次元コードは日本のメーカーが発明し今は世界中で活用されているのだが、身近というより当たり前に利用する社会になってきている。
本の第1章の中に、AIの進歩に伴い、人間がどのような仕事やスキルで機械に勝てるかが変化している状況を「海の中に浮かぶ島」に例えて説明しているものがあった。カーネギー・メロン大学のロボティクス研究所のハンス・モラベック氏が「人間の能力の風景」という比喩で説明している。海の中に島がいくつか浮かんでいる地図を思い浮かべてほしい。この地図では、土地の標高が人間の能力の高さを表現し、海水面の高さはAIが到達したレベルを表現している。時間が経つにつれて海水面が上昇し、より多くの土地が水没していく。AIの能力が高まり、人間が機械に勝てる領域が減っていく状況をそのイメージで説明したいのだ。島が一つずつ消えていき、海水面だけが広がる世界になっていくのだろうか。
「どの分野が水没しやすいか」とか、「どの分野が人間が守り続けることができるか」を考える説明としては良いかもしれないが、私はこのイメージには賛成しかねる。島はただそこに存在しているだけではないはずだ。人間の能力を島に例えるのならば、島は変形し標高も高くなったり広がったり、近くの島とつながったりしなければおかしい。この本は、その島の変容を扱うことを目的としているはずだ。最初に紹介したQRコードのように、ある日本のメーカーでとても面倒な作業を簡単にできないかと願った技術者が思いついたことが、劇的に作業を改善したのだ。新しく生まれたその島の発明は世界中で利用され、ドラえもんの「どこでもドア」のようにのぞきたい情報のあるところにつれて行ってくれるのだ。