(このブログは、東洋経済新報社刊「LIFE SHIFT(ライフシフト)2」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは7月10日です。)
「この変わり続ける世界でどう生きるか」この本の目指すことを一言で言えばこうなるだろう。
最近チャットGPTのことがニュースで大きな話題になっている。AIがまるで人間と対話しているように答えをくれるサービスだ。ニュースで扱われるのは、その危険性やルールを定めるべきだといった不安に関する話題、または、文章や絵などを表現する職業人たちの反対運動のことなどが多い。しかし、実際にはあっという間に世界中で活用が進められていて、こわがって使わないでいると世の中の進歩から置いてきぼりになりそうな不安も感じる。
この本の序文「はじめに」では、そんな人間の発明の能力の高さが急速に進歩していることを取り上げ、しかし、その「技術的革命」が新しい「社会的発明」を生むまで本当の意味での「恩恵」をもたらすことにはなりにくいと説明している。AIの活用も、当分はさまざまな問題をクリアーしなければならない状況が続くだろう。
この序文で扱っている「フランケンシュタイン症候群」という言葉に注目してみた。メアリー・シェリーが1818年に書いた小説「フランケンシュタイン」は、博士が作り出した生き物が人類に反乱を起こし、人間の命を奪うという内容だ。それとつなげて、人間が成し遂げた技術の成果が、逆に人間を滅ぼすのではないかという不安にさいなまれる状況を「フランケンシュタイン症候群」と呼んでいるのだ。まさに最近の人工知能に関する話題はそんな悲劇と結び付けられることが多いように思う。いったいどのような世界が将来訪れるのだろう。
少し余談になるが、「フランケンシュタイン」は、小説では怪物を生み出した青年の名前で、怪物には名前はつけられておらず、単に「怪物」となっている。いつの間にか、大柄でノロノロと動き、知能の低い奇怪な人型の怪物を指すようになっているが、原作では、俊敏に動き、とても知能が高い怪物として描かれている。(参考:ダ・ヴィンチWEB)
その知能の高い怪物の方とどう向き合うべきかを続けて探っていこう。(続く)