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脳活動の偏りと思考形式

(このブログは、文芸春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の12月12日です。)

 マインドフルネスの効果について触れておこう。脳活動は、左右で役割の違いがある。ポジティブな画像やネガティブな画像を見せ、脳内でどのような電気的活動が起こるか電極を貼り付けて計測した。左側への活動の偏りは、良いものごとに向かおうという積極的な傾向に関連しており、逆に右半分への活動の偏りは、悪いものごとに注意しようとする傾向に関係している。

 被験者を二つのグループに分けて認知バイアスの修正を行う訓練をし、訓練前と後でどのような変化が起きるか調べた。片方にはポジティブな画像に注意を向ける訓練、もう片方にはネガティブな画像に注意を向ける訓練をした。結果は、認知バイアスだけでなく、脳の回路にも変化が生じた傾向がうかがえた。ものごとを感覚的にとらえる傾向の強い右脳は不安を強目にとらえ、知的に判断する傾向の強い左脳は、良い方向へ理解しようとするのだろう。

 今朝の新聞で、宗教的に男女の扱いに大きな差がある国民の脳の調査で、女性の脳の皮質の変容に弱さがあることが書かれていた。人間の脳も環境に対応すべく日々変化をとげているのだ。差別的扱いに負けず学びを大切にしてほしい。

 この頃チャットGPTが話題になっている。そこから得られる情報を活用して活動を発展させ、自分を向上させられれば良いが、考えることをやめ、簡単に手に入る情報をただ利用するだけになったら脳の劣化が進むのではないかと心配だ。今私が書いたこのブログも、誰かが利用する可能性がある。良い方向に活用してくれれば良いのだが。

 私は自分が「経年劣化」にならないよう「熟成」を求めてさらに学び続けていこう。単なる知の吸収だけでなく、私なりの日常と関連づけ、自分にとっての意味や、社会を深く理解する力に変換していこう。