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偏った認識が危険な社会へ

(このブログは、文芸春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の12月12日です。)

 有害な心のバイアスについて、世界観に直接影響を及ぼし、事件や紛争を起こす危険性をあげて説明した。そういった心のバイアスは、無自覚のうちに発生するのだ。小さな事件を起こした人間は犯罪者となるが、大きな戦争を起こした人間はヒーローとなる場合もある。自分の心の中に大きな危険性につながる心のバイアスがあるなどとは誰も思っていないだろう。自分の強烈に信じるものがあり、それに向かって真剣に取り組むことが何より重要なのだ。

 そんなリーダーに忠告したり、医療で修正を図ることはできないが、社会がその偏った考えや情報に振り回されないようにできないものだろうか。太平洋戦争開戦の前、アメリカやロシアなどに留学・派遣された経験のある軍人は戦争になることに慎重だった人がいるという。しかし、主戦論派の言葉に促され多くの国民が日本は勝つべしと戦争を賛美する世論が高まったことで止められなくなったという。

 ブログの内容が、本に書かれていることを離れて、私の世界観に偏ってきてしまった。本に書かれている脳科学の話に戻したいが、ともかく一人ひとりが自分の世の中を見る目をもう一人の自分になって精査し、いろいろな角度から学び続け、深く広く社会を見つめていきたいという思いは伝えたい。禅の「莫妄想」、毎日唱えている般若心経の「無無明」を忘れず、良いシニア人生を拓いていきたい。