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老いてなお脳細胞は作られるか

(このブログは、文芸春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の12月12日です。)

 人間が老いてもなお新しい脳細胞は作られるのか?これについては、ほんの40年前ばかりまでは、「発達上の重要な時期を過ぎれば脳は固定化し、再生産されることはない」と神経科学の教師は明言していたそうだ。しかしそれは現在では大きく転換してきている。

 マウスを使った実験で、二つのグループに分けた。片方は、トンネルや玩具、紡ぎ車が豊富にそろっていて、しかもそれらを好きなだけ使える場所で45日間過ごす。もう片方は、快適だが無味乾燥な環境で45日間過ごす。前者の豊かな環境で過ごしたマウスの海馬の神経細胞の増加が後者のマウスに対して約3倍になっていたのだという。

 人間で同じような実験はできないが、本では、癌患者の協力を得て行われた実験のことが紹介されている。残念ながら亡くなった患者の脳から薄く切り取った組織を調べ、その検体は、新しい脳細胞が誕生していた事実を示していたという。5人の協力してくれた患者のうち何人かは70歳を超えていたという。脳は変化したり反応したりするのを命ある限り止めていないのではと思われている。もちろんこれはまだ研究途上ではあると思うが。

 上のことを考えると、マウスの実験的のように積極的に恵まれた環境の中で、活発に有意義な生活を送りたいと思うのは当然のことだろう。先週は、コロナ禍も新しいステージに入り、社会活動が動き出すことを思い知らされた。火木土と1日おきに会議とその後の懇親会があった。その三つの組織のすべてで役員や指導者をしているので、資料作りに追われた。なんと今週も火木土日とさらに会議が続く。妻にそのことを話したら、「ボケなくていいね」と温かい言葉をもらった。せめてその前に「大変だねえ」ぐらいを付け加えてくれるとさらにありがたいのだが…。まあ、「いそがしい」だけではなく、「楽しい」という要素を加えた充実感をなくさないように頑張ろう。