(このブログは、文藝春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートしたのは、昨年の12月12日です。)
オプティミズム・バイアス(楽観的偏向)によって前向きな幻想をいだくことは、いろいろな面でプラスの結果をもたらす。それを、「男性が自分はモテると思い込むこともちゃんと役に立っている」と言う例で説明した。
本では、ほかにもたくさんの項目を挙げてポジティブ・シンキング(楽観的な考え)の効果を紹介している。項目だけ並べると、「アイディアがたくさん出てくる」「粘り強さにも関係がある」そういったことが、事業の成功や社会的変革に繋がった例などを挙げている。チャーチルやエジソン、マンデラ、オバマなどを取り上げているので面白い。
ただ、少し前にもあつかったが、多くの人に見られる楽観主義は、脳の側坐核を中心とした快楽中枢からもたらされるものだ。そのネットワークや神経伝達物質などを調べると、快楽の鍵となる機能には二つある。「気持ちよく感じる」ことと「欲望する(欲する)」ことだ。この二つを区分して考えることは、サニーブレイン(晴天脳)を理解する上でとても重要だ。
「ハッピーな思考が全てを解決する」などという単純なものではなく、それに向けて「欲望」する、つまり行動を起こすことが大事なのだ。夢を見てうっとりするだけでなく、それを手に入れるために困難も乗り越える「欲する」気持ちを起こすことが必要なのだ。これがこの第2章のまとめと言っていいだろう。修道女の例はその結論につながるのだ。
次回からは、第3章「恐怖を感じない女」に入ろう。