(このブログは、文藝春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の12月12日です。興味のある人はそちらからご覧ください。
人の認知バイアス(偏り)、その根元にある選択的注意に触れてきた。わずかな危険やネガティブな要素につい目を止めてしまう人は、結果的に「世界は危険と失望に満ちている」という悲観を抱く。いっぽう、喜びやポジティブな要素に自然と目がいく人は、「世界は善と成功があふれている」という楽観を抱く。(本文より抜粋)おそらく人は誰でも、「ポジティブなものごとを求め、厄介なものごとを遠ざける」という習性を持っているだろう。しかし……
今日録画してあった「はじめてのおつかい」を昼食を食べながら見た。怖さや不安を感じながらも、なぜお使いに行くのか? 単に「楽しいから」とか「新しいことに興味があるから」では片付かない。ほとんどの子が、心の中で思うことをつぶやきにして教えてくれていた。買い物するものを忘れないように繰り返し言うのではなく、お店の人にこう言えばいいかなとか、自分はなぜこんなことをするのかとか、自分の心と対話している。
ある女の子は、はじめに買ったお好み焼きが袋の中でずれて形がくずれそうなので途中なのに一度家に帰りママに説明して渡した。次に唐揚げをじゃんけんに勝って半額で買えたのがうれしくて、スーパーに寄らず家へ。3度目はスーパーでいろいろなものをカゴに入れ会計。家に帰るとママが「あっ、ソースがない」。すると、その子はすぐに「行ってくる。すぐに帰って来るけえ」と4回目のお使いへ。それを見送るママの方が泣き出す。
歩きながら「かわいいママとかわいいパパとかっこいいお兄ちゃんがいるからお使いに行けるんだよ」と自分につぶやく。買い忘れたソースをお店の人に応援してもらって買う。外に出ると、店の人が入れてくれたバッグからわざわざソースを出して胸に抱く。ママが家の外で待っていると胸に抱いたソースの表側をママの方に向けて手渡す。それを見ているこちらの方が泣けてくる。
一度だけでも大変な挑戦。自分の弱い心との戦いを見せてくれる子たちがほとんど。失敗なんかしたら2度と行かないと言うのが普通だろうに、この子はママに心配させまいと、「すぐ帰ってくるけえ」と出かける心の強さに驚かされる。そして「大好きな家族がいるから自分は行けるんだ」と自分を励まし、ママが喜んでほしいためにわざわざ胸に抱いて手渡す。そんなポジティブな挑戦心を育んだ家族に感動する。
別な子の事例で、大好きなおじいさんに届け物をした子が成長して、大学生になって再会するのだが、そのおじいさんが色紙に絵を描き言葉を添える。「鏡は先に笑わない」と。まさにこのブログで扱いたいことを一言で言ってくれた。世の中のいろいろな環境の中で人は生きている。でも自分の人生を笑顔で過ごすには、自分がまず笑うことが大切なのだ。私もいろいろな活動の中で、笑顔の人を増やしていけるようまず自分が笑顔を忘れないようにしよう。