(このブログは、文芸春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。)
同じものごとに出会っても、人によって受け止め方や対応の仕方が異なることは誰しも感じたことがあるだろう。本(上記)では、二人の兄弟の例を挙げている。
ダニエルは、子どもの頃から親のもとで仕事を手伝い、小遣いをもらい、次第に自分で仕事を見つけて稼ぐようになる。いつも良い学生だったジョーイは、最優等の成績を取り大学院にも進学した。そんなジョーイは、ダニエルからベンチャービジネスに関わらないかと再三誘われるが、用心深さから断り続けた。
ダニエルのプロジェクトは華々しい失敗に終わったが、結果的には大金持ちになる。ジョーイは、学校教師として暮らし、住宅ローンの支払いに追われている。成功をおさめなかったわけではないが、きわめてつつましい人生を送ることになった。
この例を読んでいる人でも、それぞれ受け止め方が違うだろう。「たまたま結果的に成功できたから良かったかもしれないけど、そんな人はほんのわずかなんだよ。」という人もいれば、「やはり、失敗を恐れず挑戦するからこそ豊かな人生を経験できるんだよ。」と、ワクワクして読み取る人もいるだろう。それが“アフェクティブ・マインドセット(心の姿勢)”の差なのだと思う。
その違いは、持って生まれた遺伝子レベルの差もあるだろうが、それよりもこれまでどんな出来事を経験して来たかということにも大きく左右されるだろう。しかし、同じ経験をした人でも差が大きく違うのは、起きた出来事をどのように見たり解釈したりするかということだという。この三つの要素が絡み合ってアフェクティブ・マインドセットを形成していくのだ。