一昨日はリニア新幹線工事に関係して土砂災害の恐れや地殻変動によるトンネルの危険性について触れた。国や県をあげて便利な交通手段を作っていくことは重要なので、動き出したものを止めることで大きな損失を背負うような提案はできるはずもない。ただ、「安全」ということへの配慮は、計画を実行することを優先するあまりやや甘くなる可能性はある。
地域への説明も、問題がある点の説明や、それに対する対策を明確にできれば良いが、ものごとを無事に進めるには、あまり関心を持たれないように曖昧に過ごすことが多い。今回信濃毎日新聞で問題点を取り上げる動きが出たので、なんとか理解してもらう説明をせざると得なくなっているが、問題にされなければ、事業体の方から知らせることはおそらくないだろう。
いずれにしても、関係地域に災害が及ばないように、専門家の調査で災害の可能性の検証やそれに対して行政で対応を検討するなど、「指導しています」という相手任せで済ませない取り組みが必要だろう。
しかし、熱海の土砂災害から思うことは、ルールに従わない業者に対して指導はしていたが、その指導が曖昧であったり、業者の反発から手をこまねいていたりと不十分なまま時が過ぎていった。行政は1、2年で担当者が代わり、「困った業者がいる」と引き継いではいるだろうが、それに戦ってでも解決を図るというのはほとんどない。今回のような大勢の死者が出る災害があると思えばもちろん真剣に取り組んだろうが、やはり「想定外」になりやすい。社会的な問題として地域をあげて問題意識を高めなければ、担当者一人が嫌な思いをするだけで解決は遠くなる。行政の大変さもよくわかるので、地域の連携、関心の高さも大事なのだ。