自然の形を変えること

 「地すべり危険箇所」「急傾斜地崩壊危険箇所」「崩壊土砂流失危険地区」「山腹崩壊危険地区」「土石流危険区域」「土石流危険渓流」これは、信濃毎日新聞の記事に載った土砂災害地区の呼び方だ。リニア中央新幹線トンネル工事の残土置き場に関する記事だ。

 山に囲まれた長野県は、急傾斜の山、崖、渓流がたくさんある。自然豊かで楽しみもたくさんある。ただ、住むにはかなりの配慮が必要だ。まして、工事をして自然に人口の手を入れることはかなりの無理をしていることが考えられる。

 取材に対して関係部局は、「どんな場所でも安全な計画と施工をするよう指導している」と答えたそうだが、のちに「想定外」と言う災害が訪れるのではと不安になる。日本の中でも長野県は、列島ができるときにかなり無理な力がかかっているし、今でもプレートテクニクス(地球の表面の岩盤移動)のために変形し続けている。私が20代に教員をやっていた南信濃の村は、山梨や静岡と県境を接しているが、国道は図面だけで、本当の道は繋がっていなかった。青崩峠といって、いかにも危険な山道しかない。その地下にトンネルを掘ること自体に疑問を感じてしまう。地図を見れば、確かに東京・名古屋を結ぶ距離がかなり近くなる。開通したあと、安全をどのように確保するか十分検討することをお願いしたい。