森林がものすごいスピードで減少していると一昨日のブログに書いたが、そこで思い出したのは、「アファンの森」のことだ。11月11日(金)の信濃毎日新聞に載った記事で、C・W・ニコル氏の生き方を扱ったシリーズの「黒姫時代⑨」でそのことをわかりやすく扱ってくれた。
ニコルの生まれた南ウェールズは、炭鉱が多く、森は切り拓かれ、ボタ山だらけの土地だったという。そのアベルバンという村で大雨が降り、ボタ山が崩れ、真下にあった小学校が押し潰されたのだ。100人を超える子どもたちが生き埋めになり死亡した。村の子どもたちがほぼいなくなるという前代未聞の災害に村の人たちは悲しみ、崩れやすいボタ山を放置してきたことを悔いた。そして、地域をあげて森づくりに真剣に取り組んだという。
(新聞記事参考)簡単に説明すると、まず重機で傾斜を緩くし、熟成させた鶏糞肥料と泥と水を混ぜ合わせて散布する。そこへ根を張る力のある草の種を蒔く。そして、カバやカラマツのような成長の早い木を植える。空気から窒素を取り出し土に戻してくれる働きをしてくるのだ。木や様々な植物が成長するにつれ、肥えた表土が作られ、小動物がやってくる。次第に森は様々な生き物で賑やかになってくるのだ。
谷が緑になるにつれ、澄んだ川の流れと鳥の声の歌声の協演が始まる。緑豊かな安全な環境に惹かれて人が戻ってくる。「アファン」とは、「風の通る谷」という意味だそうだ。ニコルは、黒姫を舞台に日本でその実践を始めたのだ。
水害の話から、「森づくりで生まれ変わった町」の話につなげてきたが、日本はもともと自然との調和を大事にしてきた国だ。近代化の中で、それを忘れて開発に営利を求めていないか反省する必要がある。ルールを無視した違法な谷の埋め立てで土砂崩れを大きくし大勢の人が亡くなった伊豆の災害は長野県でも起きる可能性がある。