昨日は、ブログを書こうと机に向かってから、ふと横にあった本に目が行き、開いたら面白くて2時間以上読み続けて、また寝るのが深夜になってしまった。
前々から読みたかったその本は、信濃毎日新聞社刊の「寛保2年の千曲川大洪水『戌の満水』を歩く」という本だ。2002年初版発行の本だが、2019年に起きた台風19号災害につながる警告がたくさん書かれていて、大勢の人に読んでほしい本だ。「同じような災害が今度は別な場所で起こる可能性が多い」と、知り合いには言っていたが、改めて長野盆地に住む人にとっては大事な情報だと思うのだ。
最初の項でその災害のあらましが書かれているが、その中に、台風19号災害でよくニュースで出てきた長沼の玅笑寺が出てくる。お寺には歴代の住職が、江戸時代から明治時代にかけ寺を襲った6回の床上浸水の水位を本堂の柱に墨で記していたというのだ。それほどこの地区は昔から川の氾濫と向き合ってきたのだ。
実は私は社会教育主事をしていた時、3回ほど長沼公民館を訪れたことがあって、廊下に表示された、同じような「ここまで水に浸かりました」という掲示物を見たことがあった。私はこういう記録を残しておくことは大事だなと思い、さらにそのためにどんな対策をしているのだろうと思ったことを思い出した。その時、そのことを館長さんに話したところで何もできるわけではないかもしれないが、今思うとお伝えして、いざという時のために何をしておくべきか考えた方が良いですよと言うべきだったなと思う。
写真や地図・古地図など資料も多くとても参考になるので、多くの人に読んでもらいたいと思う。被害を受けて辛い思いをした人にとっては生活の立て直しが一番大事なことだとは思うが、広い視点に立つと、長沼の災害を他人事ではなく、地域全体の問題としてニュースなどで取り上げてほしいと思う。長沼の人たちの様子が何度も放送されるが、ほとんどの市民は自分の身に迫る可能性のあることと思って見ていないように思う。
犀川が長野盆地に出て、川中島の大きな扇状地を作り、それに押されて千曲川が松代や若穂のような盆地東側に押されて流れているのを知っていますか。その犀川は以前は、5本ぐらいの大きな流路を流れ、山から運んできた大量の土砂を積み上げて大きな扇状地を作り、そこにあなたが住んでいるのを知っていますか。それを今は、堤防で一本の大きな川にし、千曲川に合流させていますが、強い雨の時、国道19号線を通ると茶色の荒れた川になっていて、恐ろしいことを知っていますか。その運ぶ土砂の量は、長野盆地にどんどん溜まり、とても人の力で川底を削って運べる量ではないことを知っていますか。千曲川も同じで、堤防を高くすることだけでは自然の力にかなわないことを知っていますか。