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働き方の未来と選択 その10

 「新しい選択肢を見つけていくことを大事にしたい」と、前回のブログはまとめた。また「選択肢」という言葉が出てきた。「ワークシフト」(プレジデント社刊)のまとめの部分では、「重要なのは選択肢を理解すること」と項を立てて提案している。

 「選択する」ということは、その結果を良くても悪くても自分が受け入れることになるということだ。うまくいかない時、その選択肢を教えてくれた人を恨んだり、責任を転嫁することではますます沼にハマってしまうことの連続になる。

 そんなことを考えていたら、NHKの番組で「ダイエットの歴史」を扱っていて面白かった。エアロビクスはいいとして、りんごダイエットとかゆでたまごダイエット、ラップを巻くダイエットなどの失敗談も多く語られて笑えた。

 そこで大事なことは、その方法はどんなねらいのもとに考えられ、効果はどのように検証され、注意点は何かなど、その方法のことをどれだけ理解してやろう考えたかだと思う。確かにサウナスーツを着て運動をし汗をかくことで体重は減るだろう。ただ、それが本当にどれだけの脂肪を燃焼させているかというと、それほど簡単なことではない。急激に汗をかいて人の身体の5%以上の水分を失うと脱水状態になり、10%以上の水分を失うと命の危険もあるそうだ。

 ラップを巻いてアセモだらけになって皮膚科へ急行した人もいるそうだ。だから重要なのはその仕組みや危険性を十分に理解して行うことだ。りんごだけとかゆで卵だけを毎日食べ続けるなどと提案されたのではないと思うが、それを放送等で流す時、いかにも簡単でとても効果があるような情報ばかりが強調される。その選択肢をよく理解せず信じ込んで始める人が失敗を繰り返すのだろう。

 薬等にもお腹をスリムにする効果があるなどと効用が書かれているものがあるが、その理由をどれほど理解して使っているだろうか。基本的にどの薬も体質改善や内臓を活発に働くようにして健康な身体にすることをねらっており、単に飲んでいれば痩せるというものではないのだ。「食事のバランスを考えたり、運動の習慣をつけるなど生活習慣の改善も併せて行うことで効果が期待できます」と、メーカーのホームページにも書かれている。

 私はまず「自分を理解すること」が大事で、毎日決めた時間に体重計に乗るとかお腹周りが気になるならウエストを測るとかして、自分の状況と向き合う気持ちがまず必要だと思う。選択肢を理解する上で、自分の身体や精神を理解することがまず出発点だろう。その上で、効果を確認しながら、自分に合った方法を工夫していくのだ。

 働き方の未来と選択のような大きなテーマも同じことだろう。どれだけ自分を知り、社会を知り、その背景や未来を見つめ、選択肢をしっかり並べられることだ。単にいい給料が欲しいとか、豊かな生活をしたいといった何となくの世界は脱してほしい。