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働き方の未来と選択 その4

 働き方の選択について、昨日のブログで語ったことは、男性は仕事にばかり全ての時間をかけてはいけないとか、女性は会社幹部を目指すのではなく、家庭を持って子育てを優先しなさいなどと言っているわけではない。「ワークシフト」(リンダ・グラットン著)の最後の章で言いたいのは、「第三のシフト」すなわち未来の自分の人生を求める中で、「バランスの取れた働き方を選ぶ勇気」を持ちなさいということだ。

 仕事の世界の「古い約束事」として説明しているが、これまでの仕事をする意味として、「給料を受け取るため。その給料を使って、私は物を消費する。そうすることで、私は幸せを感じる」とされてきたと説明している。しかし、その「古い約束事」が崩れ始めたというのだ。

 確かに戦後日本の高度成長期を過ごしてきた私も、働くことが当たり前、いただいた給料で少しでも豊かな生活を守り、子どもたちのために財産を残したいと思って過ごしてきた。しかし、私たちの祖父母世代は今の状況を見ると驚くだろう。家にあるパソコンもテレビも家族の数より多い。大型の冷蔵庫が各階にある。もちろん車も一人一台だ。家族の人数が減ったため、一人で占有できる部屋が全員にある。

 しかしそんな「古い約束事」が崩れ始めているというのだ。若者は家にほとんどいない父親を見て育ち、自分も同じように働きたいと思っている者もいるかもしれないが、明かに昔と違うのは、その若者世代はその働き方が引き起こす結果を知っている。自分がどうするかの選択肢は昔とは違うのだ。もちろん長時間労働をすることを選ぶ若者がいるだろうが、それはそれに見合う給料や評価をすぐ求めるようになるだろう。

 他にも、経済の倹約の時代が訪れていることや、温室効果ガス排出削減問題などもあり大量消費への逆風が強まっているなど、さまざまな変化の要因がある。また、以前のように、型の決まったものを大量生産する時代、万人が画一的な働き方をする時代から、個性的で、自分の願いを大事にする生産や消費が求められるようになってきている。働き方のバリエーションもさまざまな選択ができるようになり、しかもその結果が何をもたらすかも分かりやすくなってきている。

 初めに戻るが、「バランスの取れた働き方を選ぶ勇気」が求められる時代になってきているのだ。