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協力して起こすイノベーション その1

 リンダ・グラットン著「ワークシフト」(プレジデント社刊)を読み進めてきた。今日から新しい章に入る。本では、第9章「第二のシフト〜孤独な競争から『協力して起こすイノベーション』へ」と題されている。

 この章の内容を一言で言うと「未来に必要となる三種類の人的ネットワーク」だ。どんどんと人間関係資本を築く方法が飛躍的に拡大する中で、本当に求めるべき人的ネットワークを三つの種類で説明している。それは、

1「ビッグアイデア・クラウド(大きなアイデアの源となる群衆)」

2「ボッセ(頼りになる同志)」

3「自己再生のコミュニティー」

の三つだ。

 その具体や、そこから思い浮かべる私自身の仲間関係などを、これからのブログで語っていこう。

 今後の構想を練っていてふと思い出したのは、先日の悲しいドキュメント番組だ。若い世代の「孤独死」。少し以前にも触れた内容だ。

 離婚して一人暮らしをしていた40代の男性が、アパートで亡くなり、何週間も発見されないままだったという内容だ。その遺体のあった部屋を片付ける業者の体験を聞き、そういったことの多くなった社会の状況や人々の心理を扱っていた。これほど簡単に人間がつながり合っていける時代になぜそんなことが起きるのか。職場の仲間はいたが、ほとんど個人的なつながりはなく、親とも1・2ヶ月に一度電話をかける程度のつながり。亡くなった頃、父親は電話したようだが、出なかったので、また仕事が忙しいのかなぐらいの気持ちだったらしい。

 別な女性が取材に応じていた。人とつながることをほとんど無くしているという。連絡を取り合う仲間はいたが、こんなメールを送ったら相手がどう思うだろうなどと、気遣っているうちにほとんどやりとりがなくなっていったという。一人でいることの気楽さにはまり、何かあったら困ると言う不安はあるけれど、やりたくないと思いを語っていた。

 そういう人のために安否確認ネットワークも紹介された。そのNPOを起こした人は、自分の兄を亡くし、ほとんど連絡を取り合っていなかった兄弟のつながりの薄かったことを反省した。そんな思いを多くの人にさせたくないと考え、自分にできることはないかと始めたのだ。毎日登録した人に自動でアプリ連絡を送り、相手は、無事な場合はボタンをクリックするだけで良いのだ。決められた時間を過ぎて反応のない時は、メールを送り、それでも返信がない時は、見に行くというのだ。かなりの人が登録しているらしい。

 コミュニティーの世界は広くつながり、ウクライナの状況の変化を映像で確認し、連携して戦争犯罪を分析するチームもあるという。一体今後社会はどうなっていくのだろうか。身近な人間関係は無事なのだろうか。しっかり未来を見つめていこう。