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連続スペシャリストへの道 その17

 昨日、親戚の若者がドイツへポスドクとして行くことを話題にした。ドイツのポスドクについて調べている中で、その仲間たちのネットワークがあることがわかった。情報交換や家族の交流など、外国で生活する上で仲間の存在は強い支え合いを生むものと思われる。

 「ワークシフト」で、「自分の刻印と署名」の次の手段として「ギルドの一員となる」ということが示されている。中世の職人のギルドと同じように同業者組合を作り、メンバーの能力水準を維持し、対外的にその能力や評判を管理することを行なう。それを基盤にメンバーは社会的に専門技能の持ち主として信じてもらえる。

 まあ、上で紹介したポスドクの仲間は、そんな専門技能を保証するといった目的を持ったものではないだろうが、互いにその専門技能を磨く支え合いは大事な目標の一つだろう。

 私のように自由な活動を求めて独立したものは、現役世代のような評価を特に必要とはしないが、つながりのある人たちには、頼りになる人という信頼感は持っていてもらいたいとは思う。もちろん、合唱の関係や教育界で仲間だった人たちとの交流の場はある。退職校長会の組織は、現役校長との懇談会があり、教育の抱える課題について議論したりする。できれば、先輩として意見する内容が、現状や未来をきちんと見つめたものであってほしいが、ともすると、自分の経験をもとに「こうすればいいのに」的な古い型にならないことは気をつけたい。

 私が校長をやっていた時は、地域に住む先輩校長は良い人たちで、朝のラジオ体操で子どもたちを世話してくれたり、地域の役員で学校を支える努力をしてくれたりした。中でもありがたかった思い出は、保護者から「授業参観やその後の懇談会などの時に、小さい子どもたちの世話をしてくれるとありがたい」と要望が出た時、先輩の女性校長を中心に仲間のシニア女性を集めて、図書館で子どもたちを世話をしてくれたことだ。

 話が脱線した感じだが、ギルドの例として弁護士や医師たちのような専門職の組織の話が本に載っている。医師の組織は日本中どこにでもあり、かなり強い関係性・組織力がありそうだ。それが以前からあるような縦割りの地域組織だけではなく、同じ専門性を持った遠くの仲間とも繋がり、より患者にとってレベルの高い治療につながるような研究組織であることも期待したい。