前回は、「自分のブランドの差別化を図る」「自分の署名の入った仕事」などを話題にした。これまでより柔軟な形態、人との緩やかな結びつきのなかで、自分を他の人に印象づける必要性が高まるというのだ。「ワークシフト」(プレジデント社刊)で、リンダ・グラットンは、そのために有効な方法を三つ提案している。
一つ目は、自分の仕事が、誰の目にもあなたの仕事だとわかるように明確な特徴を持たせる。評判を保つために積極的に評判をマネジメントする。
二つ目は、ギルド(同業者の組合)やそれに類する組織をつくる。オンライン上でやるなら「バーチャルギルド」と呼んでも良いかもしれない。
三つ目は、活力を失わず、精力的に仕事に打ち込み続けるために、さまざまな要素を取り込んで、キャリアのモザイクを描く。(教会のカリヨンツリーのように)
それぞれについて、次回から内容を分析しとらえていこう。
私が教育委員会に嘱託職員としていた頃、公民館職員に社会教育活動の意義や活動の要点を指導していたが、それはあくまで組織の一員としてやっていたことだった。自分で研究し指導の仕方を工夫はするが、基本的な枠から外れることはできない。ただ、市長の肝入りでシニア男性の活動を活発にすることを目指して始まった「コーラスフェス」は、私が指導者として任された。立案する担当者がお隣の席の仲間で、かなり私なりのアイディアを活かせたのはやりがいがあった。その経過もあり今でもその延長線にある「歌と健康セミナー」は指導者として位置付けてもらっている。
フリーになってから公民館でそのセミナーを続けているが、それは自分のアイディアを練り、自分の名前を前面に出し、評価の大部分を自分が受け止めることになる。
その辺を掘り下げてみると、未来社会が、より柔軟な結びつきのなかで、個人の働き方で複数の会社を相手に仕事をすることになると、自分の存在を際立たせることが重要になるのは当然だろう。私も、評価が低ければ、セミナーが終焉を迎えるのだ。