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連続スペシャリストへの道 その10

 昨日のブログのように、専門技能を追求する人生で、視野を広く保つために、いろいろな分野の仲間と繋がったり、自分が新しい分野に挑戦したりという生き方が重要だということを考えた時、私はすぐ原田マハさんを思い浮かべてしまう。

 美術関係の専門としてチャンスを引き寄せ大きく展開したと思ったら、小説家に転身して、大勢の人が自分の生き方を振り返りたくなるような素敵な物語を提供してくれる。それで終わりではなく、まだ新しい分野に挑戦しそうな雰囲気も持っている。でも、新しい分野に展開しているようだが、決してそれまでの専門分野の知識・技能が別物になっているのではなく、より深い人生ドラマとして読者に訴えてくる基盤になっている。最近だけでも私は、「楽園のカンヴァス」「飛ぶ少女」を読み、今は「風のマジム」を読んでいる。「楽園のカンヴァス」や「常設展示室」のようにまさに美術関係の経歴が現れているものも多い。

 私も教育の世界にいながら、趣味として始めた合唱が今は中心的な仕事になっている。楽しくて始めたことが、真剣に取り組む中で、あるレベルに達するとそれは趣味の世界を超えて専門分野として自分の中に存在するようになる。そして、もともと持っていた教師という世界と重なって、教える専門技能・知識をして動き始める。

 私は、学生の時、大学のサークルだけでなく、市民合唱団にも入っていた。社会人として活躍する先輩たちの教育以外の生き方にもとても刺激を受け、大学の授業に負けないぐらい私の人生の基礎を作ってくれたように思っている。

 一つの道を極める過程で、単に一つの技能を磨くだけでなく、人脈や別な分野への関心も大事だということについて本当にそうだなと思う。