連続スペシャリストへの道というテーマで続けてきた。この「連続」とは、今持っている専門技能に甘んじるのではなく、常により深く習熟することや新しい時代に相応しいイノベーションを求め続けることをさしている。
その「連続」の取り組みについて回る落とし穴は、狭い専門分野に特化するあまり、広い視野を失いかねないことだ。この頃のコロナ禍で自分が磨いてきた能力、培ってきた職場が活かされないで困っているというニュースがよく取り上げられる。そういった業者を支援する組織が、困っている業者同士を繋げ、新しい販路を見つけたり、今までとは違う商品を作ることに展開させてこれまでの技能を活かすといった取り組みが紹介された番組も見た。
そういったことに如実に示されるように、視野を広げ、育んできた自分の専門技能を幅広く活かしたり、時には、新しい世界に脱皮していったりという展開も必要になる。整理すると、複数の分野の高度な専門知識と技能を組み合わせることが欠かせないというのだ。
それを成し遂げるためには、一つは、特定の専門分野の枠を超えた幅広い人的ネットワークを築き、多様な人たちとの接点からさまざまなアイディアや発想を組み合わせることがある。また、もう一つは、自分自身で複数の専門技能を身につけるという方法だ。隣接する分野に移動することもあれば、全く新しい分野に脱皮することもある。それは無謀な挑戦ではなく、それまで「連続スペシャリスト」として自分を磨き続けてきた生き方は、いろいろな面でその基盤として支えてくれるように思う。私の言葉では「なんとなくではない生き方」を続けるのだ。