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未来への探求の旅

 このブログの旅の案内書である「ワークシフト」著者のリンダ・グラットンは、本のプロローグで、「すべての始まりは、息子たちが将来の夢を語る朝食の会話だった。」と言っている。彼女はその道の専門家でありながら、なんと答えて良いのか迷う自分に気づいたのだ。

 私も同じような経験をしている。ある朝、妻から焦った声で内線電話がかかってきた。東京の一流企業で良い成績を上げている娘が会社を辞めたいと言っているという困った声だった。どうして?と聞くと、自分で新しい仕事を始めると言っているという。ちょうどその日の朝、YouTubeで、「命の次に大切なのは、選択の自由」というコヴィーの言葉に出会った私は、「いろいろ考えた上で決めたことだろうから、本人の判断に任せることが大事だよ」伝えた。しかし、自分の未来をどう描くのか、それは難しい問題だと改めて思った。

 グラットンは、どのような未来が訪れる可能性が高いかを極力精密に描き出すために、探求の旅に乗り出したという。まずは、自分達の日々の生活に関わる幾つかの問いを立てたそうだ。それは、

 2025年に、

 「私と私の友達、私の子どもたちは、どのような人生を送っているのか」

 「朝の10時にはどんな仕事をしているのか」

 「ランチは誰と一緒に食べているか」

など、九つの問いが並べられている。本が発行されたのが、2012年だから、おそらく2005年ごろ書き出したとして、20年後ぐらいを想定していたのだろうか。

 私は、今年の秋、70歳となる。20年後では遠すぎるので、干支につなげて、次の辰年72歳の時は何をしているだろう。その次の84歳の時は何をしているだろうと考えてみるのが面白いと思った。いつこの世を去るかは神様の言う通りで、はるか先まで生きている前提で旅をしてみよう。「その時、自分はどんな仕事に情熱を燃やしているだろう」「ランチは誰と一緒に食べているだろう」「達成したい目標は何に置いているだろう」など、できればワクワク前進する課題を据えていきたいものだ。

 これを読んでいるあなたは、10年後どんなふうに過ごしているか、どんな場面で予想してみたいですか。ランチは優しくて素敵な人と楽しく食べられたらいいですよね。ただこの旅の目的は夢を見ることではなく、社会の変化を予想し、自分の未来を描くことです。