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変化の担い手になるべく

「ライフシフト 100年時代の人生戦略」もまとめの段になってきた。前回は「ゆでガエル」の寓話を紹介した。ゆっくりとしかし確実に変化している状況をしっかりと捉え、新しい働き方・生き方を実験していくのは誰なのだろう。

 企業や政府は標準化されたシンプルなモデルを好むのに対し、個人は柔軟性と選択肢を拡大させようとする。画一性がもたらす効率か、個人の選択肢の多さか……社会はこの二律背反に関してどこかでバランスを決めなくてはならないと本では指摘している。

 以前のブログ「生涯現役」のところで扱ったが、シニア世代でも早めの退職をし、起業する人などが多くなってきたし、我が家の娘の例で紹介したように、個人で起業する若者も多くなっている。そういった個人で起業する選択肢のために、多くの自治体で補助金・助成金の制度も整えてきている。比較すると日本の起業成功率は、5年後で80%台で、米国・英国・ドイツ・フランスは40〜50%であるのと比べると断トツで高い。最近の才能豊かな人たちは、自分の会社を築き、その後に大企業に加わることを望む場合もあるそうだ。また、企業に家庭で育児や介護の役割を果たせるような働き方を要求する人たちも増えている。

 今日のニュースで、自民党の「一億総株主」の掛け声を聞いた。ほとんど利息の取れない預貯金に日本人は頼っているが、投資信託や株に預けることで資産形成を図り、豊かな生活を送って欲しいということだ。給料が増えないと騒がれている日本で、会社の雇われ人として働くだけではなく、自分で積極的に資産を活かして増やそうということだ。しかし、昨日見たYouTubeでは、政府関係に勤めていた男性が退職金で株式投資を行い、信用買で損をし、それを埋めるためにますます危険を冒し、約5000万円あった資金をほとんど失って例を紹介していた。日本人皆で株をやるのは大事なことだと思うが、ベテランの投資家に美味しいところをみんな持っていかれないようにするにはよほど警戒が必要だ。株で稼いだ話をyoutubeではよく見るが、それだけ損をした人もいるはずなのだと思わなくてはいけない。しかし、怖がっていては何もできない。

 いずれにしても「100年時代変化の担い手は、先を読み、政府や企業のルールへの苛立ちを強めた人たちだろう」と本ではまとめている。「個人単位と集団単位で新しい働き方と生き方を実験したいと思い始める人たち、その実験を通じて、多くの人たちが自分にとって真に大切なものを探索するようになり、一人一人の個性と多様性が奨励され、賞賛されるようになる。」この最後の段落はほぼ原文のまま載せた。多様な働き方と生き方を賢く選べるようになろう。