自分で選択する時間が増える。「なんとなく」ではなく、「よし、これで行こう」という推しのパワーが必要だと昨日はまとめた。子育てや貯蓄に追われずに済む時間的ゆとりを、「自らの価値観や希望に沿った生き方」に充てることができるようになれば、本当の意味での「長寿の贈り物」と言えるだろう。
「ライフシフト」の本の中には、社会学者のマーガレット・アーチャーの言葉が紹介されている。「大半の人は人生を受け身で経験することになる」「人生を自分で形作れる人はほとんどいない」と。しかし、平均寿命が伸び、新しい選択肢を求めて生きるお手本的なロールモデルがたくさん出現し、一斉行進的な生き方が弱まる中で、人々は徐々に自分なりの新しい生き方を模索し実践し始めるのだ。
まずは、「自分はどんな人間なのか」「何を大切にして生きるべきか」「未来の自分はその姿をどう発展させていくか」そんなふうに自分を見つめるのだ。自分を対象として見つめる「自己意識」の形成が重要になってくる。受け身ではなく「推し」と言ったのはそういうことだ。「アイデンティティ」という言葉もブログの中で何度も使ってきた。変化の多くなるマルチステージの生き方の中で、一本線のように連結性と継続性のあるアイデンティティを保つことは難しい。
私は退職した時、研究をすることに足場を置き、このブログを始めたおかげで自身のアイデンティティを見つめることになった。「教育と合唱」で自身の存在を確かなものとして生きているが、それだけではなく「変身願望」の大切さにも気づいた。今までの教育学部を出て、教育の現場で働いた人生とは別な世界も味わってみたくて、独自の世界も開拓してきている。
アイデンティティは、未来の自分と繋がることも大切だ。あと何年生きるかはわからないが、それに関係なく今の自分を生かす方法を探し続けていきたい。結果を出すというより、それに向かって日々充実した生き方をできることそのものが、「自らの価値観や希望に沿った生き方」なのだから。