人生が長くなるということは、4世代にわたって互いの生活をどう理解し支え合っていくかということになる。実の親子でも難しいのに、義理の関係もあり複雑になる。悩みを並べたてればきりがない。ただ、ポジティブに考えれば、異なる世代が理解を深め合う素晴らしい時代が来るとも言える。
三輪小学校の校長をやっていた時、授業参観やその後の講話に参加したいが低学年の子どもたちを見ていてくれないかと保護者から要望が出た。近くの学童保育に行っていない人数的にはさほど多いわけではないが教員が見るには手に余る。たまたま退職した女性の先輩校長が地域の役員でよく会合で話す機会が多い人だったので、誰か子どもを見る補助をしてくれる人がいないだろうかとお願いした。すぐに呼びかけてくれて結構な数のおばさまたちが協力をしてくれることになった。手の空いている教員が一人つき、全体を見守る役をし、子どもたちの世話をその方達がやってくれた。図書館に集めて世話をしたが、本を読んであげたり、折り紙をしたり、それぞれ工夫して相手になってくれた。もちろん親からは感謝された。
いつかテレビのドキュメンタリー番組で、地域の集合住宅で、世代を超えて入居を求め、若い世代には安い入居費にするが、月に何度かお年寄りとの交流会を行うという住民組織に参加することをお願いしているとのことだった。それがどちらの世代にも喜ばれているという内容だった。多世代がそれぞれの立場を生かして助け合うことはありがたいことには間違いない。
うまく多世代共生を進めるために大事なのは、やはりお互いのプライバシーや考え方を尊重し合うことだと思う。お互いにできることと、できればやりたくないことをしっかり伝え合ったり、立場の上下を感じさせないように尊重しあったりなど基本的なことを理解し合う努力は必要だ
私はシニア世代中心の合唱団運営に参加しているが、その合唱団の演奏会に自分が指導しているジュニア合唱団を賛助出演させたことがある。とても喜ばれたし、その親が聴きに来るので、いつもとは違う観客層を広げられた。そんな世代を超えた交流はもっとこれから盛んになっていくと良いと思う。逆にシニア世代の活動団体は、若い世代の活動に支援をするとか関心を持ち合うことが大事だろう。
身内の付き合いの難しさはここでは触れないが、家族の中心になっている人がそれぞれの立場をよく見渡して、理解し合う環境を整えないと、すれ違いが多くなる例が多いように思う。