家族の構成員数が少ない状況が顕著になってきたことに触れた。これは、工業化が進み、家族の構成員が独立した収入をもつようになったことや、年金制度が行き渡ってきたことによるだろう。子どもたちも学校制度で一定の年齢は職場から切り離されたこともある。いろいろな場面で年齢層による隔離が進んできた。
今でも、農家や商店、開業医など家族の関わりの強い社会もあるが、それぞれ世代ごとに分かれて居住し、身内の仕事場に通うという例も多くなっている。我が家の近くの畑でも、義理の母と嫁がほぼ仕事をこなし、夫(息子)は勤め人で、週末に機械操作などを受け持つような例も見ている。いろいろな形で居場所や役割の分離が進んでいるのである。
戦後高度成長期もあり、集団で都会に就職する時代もあったり、企業の全国展開やグローバル化もあって、親子が簡単には会えない距離の例も多い。我が家も介護状態にあった母が危篤になった時、私の弟は仕事で中国に向かっていた。急遽帰国したが間に合わなかった。
文化面でも隔離が進んでいて、同世代同士の交流で団体が運営されることが多くなった。半世紀前の私の若い頃、市民合唱団を立ち上げることに参加したが、40代で経営者のような人もいれば、高校生の参加者もいた。私は、大学2年生でパートリーダーを任されたが、20歳年上のベテランもいる中で一番の若造によく任せてくれたものだと思う。
今後ますますそんな世代間の隔離が進むのか、100年時代に向けて別な社会を求める方向が求められるのか見ていこう。