· 

シニア世代の夫婦のあり方

 人生が長くなる中で、60歳以降の離婚率が高止まりしていることに触れた。長寿化時代には、別離や離婚をして生涯に複数のパートナーとの生活を経験する確率が高まりそうだ。以前は元妻に財産分けをしたり育児の費用を負担したりすることで、離婚合意に至ることがあった。しかし、今後、夫婦ともにキャリアを求め、家事等の分担も互いに支え合うなど変わってきた中で、離婚合意はより複雑さを増してくることが考えられる。

 シニア時代は共に負担し合ってきた子育てなどから解放され、退職など社会的環境も変わるので、夫婦のあり方をそれに合わせて工夫することで、平和な家庭を維持できると思っている。

 ある番組で、夫婦のどちらが認知症をさけ、長生きできるかドキュメンタリー番組をやっていた。その夫は結構努力家で、1日の過ごし方を計画し、ウォーキングや体操、読書など健康維持の工夫をして過ごしていた。しかし結果は妻の方が良い点をとった。その主な理由は、友だちとの会話時間や、家事などで頭を使って働くこと、そして、趣味の世界だった。

 退職後、家族以外に交友関係がほとんどなく、妻が出かけようとすると「おい、どこへいくんだ。買い物なら一緒に行く」と、鬱陶しがられる夫が「濡れ落ち葉」などと言われ話題になった。やはり、大事なことは、夫も新しい仲間と触れ合ったり、地域の役に立ったり、夢中になれる趣味を持ったりと無形資産を豊かにしていくことだと思う。

 夫婦がそれぞれの生きる世界を大事にするためにも、自由に過ごせる時間、自由に過ごせる環境も必要だろう。洗濯・掃除は当然互いに自分の持分をこなし、料理もそれなりに助け合うなどできると良い。ちなみに私はそのことをほとんど実行している。プライベートな時間もお互いにたくさんあり、私は男声合唱団の70人からいる仲間と活動したり、混声合唱団の指導をして目指すものを求め歩んでいる。その仲間に先日講演を頼まれ、最後に伝えた言葉は「幸福は目標ではなく、結果である」という言葉だった。日々の過ごし方に、自分なりに充実感を感じ、それをありがたいと思って過ごしていきたい。