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長寿化と離婚

 2002年あたりをピークに日本の離婚率は下がっている中で、20年以上連れ添った夫婦の離婚は減る様子が見られない。ライフシフトは、アメリカでは離婚の10件に1件はどちらかが60歳以上だといういうデータを載せている。60歳以上の離婚率は、1990年に比べて2倍に上昇し、イギリスではその割合が3倍以上に上昇したという。

 成人期になってから人生で大きな転換を考えるのは、人生の午後と言われる40代後半から50代にかけてと、退職するなど社会との関係が大きく変わる老年期に入る頃、60代後半から70代にかけてだと思う。子どもが巣立っていく中で、これからこの夫と(妻と)二人だけの人生を送るのかとか、家にいる時間長くなりお互いの存在が鬱陶しくなったりと、誰しも多かれ少なかれ悩み事はあるだろう。

 75年ライフだった時は、残されたわずかな人生を考えると新しい生活に踏み出すのは負担が重すぎただろうが、人生100年時代となれば、成り行きで我慢をするより新しい出会いを求める思いは強くなるだろう。70歳代での不幸の重さが変わってきている。

 他人事ではなく、自分たちはどうだろう、相手は私のことをどう思っているのだろうと、パートナーとの関係を再構築していく思いは必要だろう。離婚・再婚を繰り返しても解決しない、避けて通れない課題なのだ。

 このブログの材料を集めていて面白い調査に出会った。2015年と1997年の比較で、女性が男性にと、男性が女性に求めるものの条件の増減をまとめたものだ。調査項目は、「人柄」「経済力」「職業」「容姿」「家事育児の能力」「仕事への理解」「共通の趣味」の七項目だ。あなたなら結婚相手を選ぶ時何を大事にしたいだろうか。

 まず、女性はこの18年間で、男性に求める条件で最も増えたのは「容姿」だ。「人柄」はわずかだが減っている。まあ、「容姿」がいい人は、確かに収入や社会的地位の高さも高いという傾向はあるそうだが、そこまで考えてのことなのだろうか。後で、「何もやってくれない」「思いやりの言葉ひとつもない」などと言わなければ良いが。「共通の趣味」は結構減っている。夫婦で何かを一緒に求め合っていくという出会いは魅力がなくなっているということだろうか。

 男性が女性に求める条件で増加が顕著だったのは、「経済力」と「職業」だった。「仕事への理解」は増減なし、「人柄」はマイナスだった。「容姿」や「家事育児の能力」は増えているので、男は欲張りだと思ってしまうが。

 話がだいぶ脱線してしまったが、相手に求めるものが変わった内容を見ると、社会の変化が背景にあることを感じる。女性は自分で稼ぐ力を持った分、相手には素敵な存在であることを求め、男性は、単に可愛い人より、しっかりした職業や経済力を持っている人を求めている。男が外で働き、女が家を守るという過去の分担ではなく、共にマルチステージの時代を役割分担を工夫しながら生きていくことに気づいてきているということだと思いたい。