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離婚率の変化

 先日妻の悩みを紹介した時、「息子が巣立って二人きりになったらどうなってしまうのか」という言葉を載せた。長寿化でさまざまな人生のページをめくる中で、夫婦二人でうまくやっていくためには、互いの役割をフェアに交渉し、信頼し合わなければうまくいかない。かといって破局は多大なコストをを伴う。金銭的資産は均等に分配できたとしても(それもまだ難しいが)、無形の資産に大きな損害を与える。二人とも人生の計画を大きく見直さなければならなくなる。

 ライフシフトの本の中では、アメリカの調査で1970年代に結婚した人たちの離婚率の高さに注目している。それまでの男女の役割を明確に区別する伝統的な夫婦形態を想定して結婚したが、その後に自分の望むようになった生き方をするには、適した相手ではなかったと気付いたのだろう。女性の社会参加など結婚に求めるスタイルが大きく変わったことや、法律が変わり本人たちの意思で離婚がしやすくなったことが、離婚数が跳ね上がった要因だろう。

 日本でも、2002年をピークにその前後は離婚率が高い。県別で見ると長野県は33%ほどの離婚率だ。こういうと、まるで30万組結婚したら、10万組離婚するように見えてしまうがそれは誤解だ。その年に結婚したのが30万組で、その年に離婚したケースが10万組あった(その結婚期間は様々)ということであって、3分の1が離婚したというわけではない。少子高齢化もあり、結婚数が減少する中で、人口比率の高い上の世代が別れたということだ。

 それを別な視点から見てみよう。「同居期間別にみた離婚件数の年次推移」という調査がある。1985年から10年ごとに離婚した夫婦を、同居していた(ほぼ結婚期間)年数別にまとめた調査だ。同居5年未満の離婚数が、1085年は、6万件弱だったのが、2005年は9万件と急増。しかしそれを境に減少し、2016年以降はずっと6万件程度で収まっている。一方20年以上連れ添った夫婦の離婚は、1085年に2万件弱だったのが、2005年は約4万件と倍増、それが最終調査の2019年まで減らないのだ。その辺りの長寿化と離婚の関係をもう少し見ていこう。