ペンシルベニア大学学生対象の20年にわたる調査で、「子どもを作りたい」とする割合が、78%から42%まで下がったことについて前回触れた。もうひとつ注目すべきデータは、今の若者たちが未来のパートナーとどのような関係を望んでいるかという点だ。
女子学生の約3分の1は、パートナーをもち、これまでの時代と同じように夫と妻の役割分担を主に育児を担いたい。約3分の1は、パートナー同士両方がキャリアを追求すべき。そして約3分の1は、パートナーは欲しいが、子どもは作りたくないとのこと。
子育てという選択肢の未来はどうなるのだろう。妊娠できる年齢はさほど広がるとは思えないが、これまでより高い年齢で少数の子どもを作る人は増えるだろう。出産の時期が遅い女性ほど生涯所得が多いというデータもあるそうだ。
また、教育レベルの高い男性の多くは、母親が仕事を持っていて、女性の生き方のモデルとしてワーキングマザーを身近に見て育ってきている。自分も父親であることで社会的存在を高められるし、夫婦両方がキャリアを追求することに前向きだとも言える。
他にも、長寿化ということもあり、若者の子育てにその両親や祖父母の助けを借りることも、選択肢を広げ、いろいろな生き方にチャレンジする可能性を広げることにもなる。
日本で経済面での二極化が社会の課題となり、離婚して一人で子育てをする女性の困難さがよくニュースに取り上げられるが、子育ての選択肢を含めてその未来を見据えてパートナーと家庭を持つことについて慎重に考えたい。パートナーとの役割分担のあり方、互いがキャリアを追求するときは、役割を交代して家事・子育てを担うとか、高齢の世代との関わりを頼りにするなど、工夫できることは多い。ただ、一般的に女性の負担が多いとか、社会で女性の待遇が劣るなど、個人では解決しにくい問題も多い。次回はその「女性と仕事」といった視点から掘り下げてみよう。