ライフシフト第9章「未来の人間関係」について紹介している。「家庭」特に夫婦関係を中心に語ってきた。家族観や夫婦観が変容する中で、パートナーに求めるものは何かとか、これから重要とされる「親密さ」の意味などに触れた。他にも「消費の補完性」とか「同類婚」とか「稼ぎ手の役割交代」などいろいろな角度から夫婦の在り方を探っている。
このブログでは、実際に身近に目にすることとつなぎながら話題を進めてきているので、上のような理論的なことについては具体性を欠くので残りは簡単に済ませたい。
以前、NHKの「逆転人生」で、子育てをほぼ終えた40代女性が、さまざまなことに挑戦し、自身のアイデンティティを再構築していく中で、ある会社の立て直しまで任されたことが紹介された。また、この頃人気のあった漫才コンビの一人が不倫騒ぎで仕事ができず、妻が離婚するより自分が仕事に出て家庭を支えている様子が話題になった。女優としての台詞回しは良くなってはいるが今だに素人っぽい。だけど社会的には彼女への応援の風が吹き、CMに出る姿は生き生きしていて好感が持てる。
世の中には、さまざまな課題と向き合う夫婦、子育てを終えて自身の生き方を家庭以外に見つける努力をする女性など、家族・夫婦の在り方はいろいろ問われ、実践の姿も多様だ。重要なのは、成り行き・惰性に流されるのではなく「選択」だ。その選択がどのような結果をもたらすかを慎重に見極めなくてはいけない。
結婚はその大きな選択のひとつだ。キャリアの中で「パートナーを持つかどうか」「持つとしてどのような人物を選ぶのか」「その人と人生を歩む中で、どのように互いの未来を支え合うか」相手のスタイルや学歴、収入はもちろん大事かもしれないが、結婚して一番嬉しいのは、互いが自然な心で一緒にいることのありがたさを感じ、自分の良さを発揮したいと自身で思い続けられることだ。
本では、事実婚やシングルファーザー、シングルマザーなど結婚に代わる選択肢を選ぶ人が増えていることを認めつつも、「結婚の持つ価値(長所)を忘れるな」としている。つまり、法律的な婚姻関係が持つ長期的な性格、権利の法的保護の強さ、そして、離婚時の財産分与の仕組みが確立されていることなどの利点は、マルチステージの時代にとても重要であるということだ。さまざまな選択肢がある時代だからこそ、どうなるか先の見通しは持ちにくい。曖昧な形でパートナーと過ごし、一方的に悲しいとか、不利な結果を招くのは避けたい。