家族とか結婚に関する意識は20世紀後半に大きく変容したことを触れた。もちろんジャックやジミーの例はその一般的な傾向を示し、象徴的に比較しやすくするもので、全員がそのようになるというわけではない。今の中年期の夫婦の家庭のあり方、夫婦の意思の疎通について配慮するべきことにも触れたいが、それは後日にして、1998年生まれのジェーンに話題を進めよう。今の20歳前後の若者を想定して読んでほしい。
長寿化の進行やそれに伴ってマルチステージとなる人生を思うと、これまでは家庭生活のかなりの部分を占めていた子育ての年数が少ない期間となる。人生100年として、子育ては約20年程。その何倍もの時間を自分のキャリアを追求する選択の中で生きることになる。
本に紹介されたデータでは、1880年には、全世帯の75%に子どもがいたが、2005年の時点でその割合は41%まで下がっている。他人事ではなく、我が家も皆成人して働いている。夫婦はそれぞれの時間を自分の思う方向で過ごせるよう工夫してきた。
そんな時代に生きる若者は、夫婦ともに長い期間自分の仕事や趣味を持ち、それぞれの友人や会社の仲間と過ごすようになる。結婚もその一つの選択肢で、自分のキャリアとの関係で、慎重に選ぶことになる。結婚の時期が遅れていく傾向や結婚という形を取らずに共同生活者として生きる例も珍しいことではなくなる。
ジミーのように離婚率の高くなった親世代は、ジャックたちと違って、早く結婚しなさい、孫の顔が見たい、結婚しない老後は不安だとは言いにくい。逆にジェーンのような若い世代の方が、結婚に対して自分達の考えをよく擦り合わせて将来を考え合うようになってきている。我々の若い頃「成田離婚」という言葉が流行ったが、結婚に憧れ、なりゆきで結婚することに慎重になることは大事なことだ。もちろん相手の気持ちを尊重するあまり、推しが弱くなる傾向が強いのもいかがなものかとは思うが。